世界遺産、流氷の来る海で漁業の現場を体験する
流氷の海の漁業見学体験プログラム/羅臼
水資源に恵まれた知床半島


 世界遺産登録とともに、知床に熱い視線が注がれています。そうしたなか半島の南側に位置する羅臼では、2006年2月より、漁業と観光の振興を目指す「マリンツーリズム」が実施されています。これは流氷の海で行われるスケソウダラ漁を見学するツアーで、知床エコツーリズム推進協議会、遊漁船組合、漁業者、エコツアーガイドなどが提携して行なったものです。「流氷の海の漁業見学体験プログラム」を中心に、自然豊かな羅臼の魅力をお伝えします。
[地域:北海道]


水資源に恵まれた知床半島

国後島
漁場に向かう漁船(2006年の漁業体験)

 午前6時、沖合の国後島の島影が昇る朝日に浮かび上がります。それは、グオン、グオンというエンジン音を轟かせ、70隻あまりの漁船が羅臼港を出発する時間でもあります。張りつめた氷をバリバリと割りながら、わずか10分ほどの間に、続々と出航する漁船の勇姿は、圧巻という言葉がぴったりで、見るだけで心がわくわく躍ります。
オホーツク海は、カナダ大西洋沿岸、ヨーロッパ北海と並ぶ世界の「三大漁場」に数えられています。オホーツク海に突き出した知床半島は、水産資源に恵まれ、なかでも国後島と知床半島の間に広がる根室海峡は、とりわけ豊かな漁場です。
その理由はいくつかあります。宗谷海流と東樺太海流が合流し、そこで発生したプランクトンの数が多いこと、海底の起伏が大きく、魚が育つための栄養分が豊富にあることなどがあげられます。また、根室海峡には暖流、寒流、両方が流れ込み、とても水流が早いのです。そのためにここの魚たちは水流に負けじと懸命に泳ぎ、健康で元気になります。こうした理由があいまって、種類、量ともに他に類を見ない、「魚の城下町」が誕生したのです。


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