第7回むらの伝統文化顕彰
講評


第7回むらの伝統文化顕彰


【全体の講評】

 今年度は、農山漁村の人口減が進む厳しい中でも集落や地域が一丸となり、子ども達を巻き込んで保存・伝承活動に取り組む神楽や伝統行事の事例から、農山漁村に残る生業や生活の技術を地域の資源として捉え、地域の活性化につなげている事例、また、日本の伝統的な農村風景や集落景観を保全・継承する活動など、北海道から沖縄まで多種多様な伝統文化の応募を頂きました。
 どの応募内容も大変充実しており、その活動の内容は、各地で伝統文化の保全・伝承に懸命に取り組んでいる方々の参考になるといえます。
 特に、今こそ着目しなければ消えてしまう農山漁村の生業や生活の技術を保存・継承している取り組みや、地域の人々だけではなく外部からの側面的な支援によって取り組まれている事例、伝統文化と都市農村交流活動がうまく連動している取り組み、また学校教育に伝統文化の継承活動を組み入れるなど、子ども達に伝える取り組みも年々盛んになっており、伝統文化の継承活動が地域への愛着を培うと共に、子どもを通じて大人や地域の連帯感を作っているなど、伝統文化は外から人を呼ぶという事だけではなく、教育の現場や地域コミュニティの形成においても重要な役割を担っている事を改めて認識することが出来ました。
 審査委員会では、4つの審査基準(①地域の個性が表現され、地域住民が愛着や誇りを持っていること、②農山漁村伝統文化が保存されており、その継承のために後継者の育成が行われていること、③農山漁村伝統文化を活用した自主的な活動によって地域が活性化していること、④農山漁村伝統文化の活用に当たって多様な主体の参画や地域住民の交流の促進が行われていること)をもとに様々な視点から審議を致しました。
 その中で特に、「そこに住む地域の人々が一体となって継承活動に取り組んでいること」、「農山漁村の暮らしや生業(なりわい)、生活技術に密接に関わっている」、「小規模ではあるが、外からの応援によって活動に弾みがつくと思われるもの」そして「子ども達への伝承をはじめ、地域内外の様々な主体への広がりを感じること」などの事例に高い評価が集まりました。
 なお、平成13年度から始まりました「むらの伝統文化顕彰」の表彰事業は、今年度を最後に終了いたします。これまでご応募頂きました内容は、全国各地の伝統文化の様子を知るだけではなく、農山漁村地域の現状を色濃く知る貴重な資料となり、来年度(平成20年度)から始まる「農山漁村地域力発掘支援モデル事業~みんなで守り伝えよう!農山漁村の資源~」(農林水産省予算)の礎になるものと思います。
 これまでの皆様のご協力に深く感謝を申し上げますと共に、今後ますますのご活躍とご発展を祈念しております。ありがとうございました。