第2回(平成16年度)オーライ!ニッポン大賞


からり直売所運営協議会(愛媛県内子町)


「からり特産物直売所」は、農業に活気を取り戻そうと、農業者や行政等による検討を重ね、平成8年に会員183人により開設し、現在、360人の農家が運営に携わっている。直売所では、地元の農産物や加工品等の販売のほか、そば打ちやパン作りなどの体験教室や旬の農産物の収穫祭などのイベントを開催し、年間42万人の都市住民等が訪れている。農産物の販売においては、有機農産物等の安全・安心・新鮮さを追求するとともに、町内の病院や学校給食センターへの食材供給、県内外の料亭や消費者への宅配も行っている。
 このような取組により、農産物等の販売額は4億円を超え、農家所得の向上とともに、町の経済発展に大きく貢献している点が評価された。



日本生活協同組合連合会(東京都渋谷区)


 本連合会では、都市住民(生協組合員)が自然豊かな農山漁村に出かけ、都会ではできない自然体験や農業体験を家族みんなで楽しみながら、自然と農村を理解してもらうことを目的に、グリーン・ライフ・ツアー(自然体験旅行)を実施している。ツアーにおいては、「訪れた地域の人たちとの交流」「参加者同士の交流」「家族との交流」の3つの交流を目的に、家族向けのファミリー企画と子どものみの参加ツアー「子ども自然体験村」を実施している。また、ツアーを実施した後は、参加者アンケートを実施し、体験プログラム、宿泊施設、応対、交流内容などについての改善点をまとめ次期のツアーに活かしている。
  この10年間で16道県75市町村に3万人の参加があり、都市住民に対する農山漁村の魅力の情報発信、ツアー受け入れ地域の活性化に大きな貢献をしている点が評価された。



北海道北オホーツクの大自然で学ぶ会(北海道浜頓別町)


 本会は高齢化や後継者不足で過疎化が進む酪農地域の活性化と、「子供達を大自然の中で育てたい」という都市住民の要望を受け、山村留学の母体として1995年に住民の有志により立上げられた。留学制度は一家で移住してもらう「定住留学」、母親と児童が留学する「親子留学」、児童だけが酪農家などにホームステイする「里親留学」の3つを用意し、廃校舎の有効活用や宅地の無償譲渡など行い、町あげて留学を応援している。
  このような地域ぐるみの積極的な協力体制により、この10年間に全国から33世帯、55名の児童を留学させ、うち6世帯が移住し、地域の活性化が図られている点が評価された。



四賀村(長野県四賀村)


 四賀村は、本格的なクラインガルテン(滞在型市民農園)を計131区画(簡易宿泊施設付き270~300平方メートル)有しており、日本の中山間地で最大級の規模を誇っている。数々の交流イベント等、四賀村民がボランティアで農園利用者(ガルテナー)の農作業の手伝いや相談を行う「田舎の親戚制度」や有機無農薬栽培の指導をはじめ、地域住民とガルテナーの交流活動が展開されている。クラインガルテンを通じて、都市住民に対して、真の癒しや豊かさを求めるスローライフを提案することを目的として、10年目を迎えた本年8月には、日本で初めて「国際クラインガルテンシンポジウム」を開催し、日本型クラインガルテンの発展方向を提案するなど、クラインガルテンの先進地としてリーダーシップを発揮している点が評価された。



定非営利活動法人白神自然学校一ツ森校(青森県鰺ヶ沢町)


 本校は、世界遺産である白神山地の自然に触れながら自然の大切さを知るという環境教育を目的として、平成15年に地元の小学校の廃校を活用した自然体験型学校を開校した。修学旅行生や首都圏などからの都市住民を対象に、単なる観光ではなく山・川・海の豊富な自然を活用して様々な体験や農産物等の販売、植林や間伐などを地元住民の協力を得ながら実施しており、交流人口の拡大とともに就労の場の創出が図られられている。このように、世界遺産・白神山地の自然保護の取り組みに環境教育を結びつけた活動は、都市住民に留まらず、地域住民の自然との交わりを促進し、同時に、地域経済の活性化、地域振興につながる実績をあげている点が評価された。