第9回オーライ!ニッポン大賞

2010.12.28

平成23年度に実施しました、第9回オーライ!ニッポン大賞の結果についてご報告致します。

第9回オーライ!ニッポン大賞の結果について


 第9回を迎えました本表彰事業は今年度、全国より101件(オーライ!ニッポン フレンドシップ大賞、フレンドシップ賞を含む)の応募を頂くことができ、大変感謝しております。
ご応募を頂きました内容は、どの取組も日々のご努力とご尽力で実績を重ねられているものでした。過疎化、高齢化が進む中山間地域において、地域住民の皆様の知恵と力を結集して取り組む集落活性化の取組、大学生や若者が時代のニーズをキャッチして新しい交流の形を作り出している取組、企業と農山漁村地域との交流を契機にビジネス展開を行っている取組など、1つ1つの内容がとても深く充実しており、「都市と農山漁村の共生・対流」(人・もの・情報の往来)が、確実に広がっていることを実感しております。
具体的には、農林漁業や地域の生活・文化の体験を通じて農山漁村地域の魅力を伝えて交流人口を増やす活動、地域の産物を活用した商品開発・販売することで地域経済や定住促進に寄与する活動、学生達が農山漁村地域と協働して課題解決を行うことでお互いを高め合う活動、様々な主体と連携した交流から集落活動のお手伝いや耕作放棄解消等へ展開する活動など、都市農山漁村交流活動を出発点として、地域への経済的効果・社会的効果に波及する事例が年々増えているように思います。
 今年度ご応募を頂きました内容について、審査委員による事前書面審査、並びに平成24年2月10日、2月24日と開催致しました審査委員会の結果、グランプリをはじめ入賞 については下記のとおりとなりました。

オーライ!ニッポン大賞グランプリ(内閣総理大臣賞)
財団法人 新治農村公園公社(群馬県みなかみ町)
オーライ!ニッポン大賞
東京海洋大学 産学・地域連携推進機構(東京都港区)
かしも木匠塾(岐阜県中津川市加子母)
社団法人 伊江島観光協会(沖縄県伊江村)
オーライ!ニッポン大賞 審査委員会長賞
OH!!鰐 元気隊(青森県大鰐町)
特定非営利活動法人 遠野まごころネット(岩手県遠野市)
東沢地区協働のまちづくり推進会議(山形県川西町)
三菱地所株式会社(東京都千代田区)
島根県立浜田水産高等学校(島根県浜田市)
NPO法人 霧島食育研究会(鹿児島県霧島市)
オーライ!ニッポン ライフスタイル賞
小栗 美恵さん(北海道千歳市)
桶谷 敦さん(宮城県石巻市)
前田 アイ子さん(愛媛県愛南町)
オーライ!ニッポン フレンドシップ大賞
NPO法人 体験村・たのはたネットワーク(岩手県田野畑村)
オーライ!ニッポン フレンドシップ賞
みやこだ自然学校の会(静岡県浜松市)
一般社団法人 南紀州交流公社(和歌山県白浜町)
愛媛大学
高知工科大学



オーライ!ニッポン大賞グランプリ(内閣総理大臣賞)

財団法人 新治農村公園公社(群馬県みなかみ町)

 たくみの里事業は、コンセプトが自然環境の保全と体験活動であり、農村地域4集落にある、歴史文化、伝統手工芸、食文化を、そこに住んでいる人材を活用した農村と都市住民の交流の場事業であります。田舎の原風景の中に点在する文化財を訪ね、又わら細工や竹細工などの体験工房めぐりに歓声を上げる、小学生や若い女性のグループそして新鮮な野菜、果物を買い求める観光客と生産者の、にこやかな対話風景など様々な交流の拠点となっています。特に24箇所の体験工房はリピーターが多く人気のスポットであります。



オーライ!ニッポン大賞

東京海洋大学 産学・地域連携推進機構(東京都港区)

私たちの活動は、地方産品を都市での消費に繋げる『地産都消』です。これは地方の産品というシーズと都市の消費ニーズを結びつける新たなマッチングです。大学の「知」と大都会の中心にある「地」を使い、連携先のネットワークを活用します。本活動には現在、大学独自の「水産都市フェア」(首都圏住民対象)と(株)ぐるなびとの連携事業である「ふるさと食材活用セミナー」(首都圏飲食店対象)のコンテンツがあり、これによって地方の一次産業の活性化に対して首都圏からエールを送ります。


かしも木匠塾(岐阜県中津川市加子母)

 建築を学ぶ大学生が、毎年夏にサマースクールとして伝統的な在来軸組み工法の木造建築を学ぶとともに、地元の方のご要望に応え、バス停や小屋などを大工さんに様々なことを教えてもらいながら、学生主体で建物のデザインや図面、施工まで全て行うものです。また2週間を過ごす間、団体生活で、自炊や洗濯をし、地元の方と交流し豊かな自然の中で木について学んでいます!


社団法人 伊江島観光協会(沖縄県伊江村)

 (社)伊江島観光協会は、沖縄本島北部の本部半島北西9kmに位置するピーナッツ型をした島で、周囲22.4km一島一村の伊江村で観光振興により地域活性化に取組んでいる組織である。特に(社)伊江島観光協会民泊部会の129軒で「ヒューマンツーリズム」をキャッチフレーズに村ぐるみで都市との交流による地域経済の活性化を推進中である。
 本村は、教育環境として中学校までしかないために、進学する者にとっては、親元を離れて本島内で生活する事になる。その為これまで使用していた子ども部屋が空く事になり、どうにか活用できないかと話題に上り、長年懸案となっていた滞在型観光への利用、日帰りの修学旅行から宿泊体験への活用方法が協議された。そして、平成15年度に実験事業として4校358名の受入れからこの民泊事業がはじまった。



オーライ!ニッポン大賞 審査委員会長賞

OH!!鰐 元気隊(青森県大鰐町)

  平成19年に「OH!鰐元気隊」を地域おこしグループとして会員数130名で設立。翌年から地元大鰐小学5,6年生を“OH!鰐元気隊キッズ”と称して、活動を始める。野菜ソムリエの先生に野菜づくりの基本を学びながら元気隊員の大人と共に「農業」に取り組み、秋には毎年(3年連続)東京の青森県アンテナショップで販売体験学習やアンケート調査をし、夜は百貨店バイヤーやフードジャーナリスト、美食家の先生等をご招待し、キッズ野菜を一流シェフに調理していただき「大鰐町PRパーティー」を開催。子供達は、自分の名刺(手づくり)を配りながら町のPR活動をしている。


特定非営利活動法人 遠野まごころネット(岩手県遠野市)

岩手県沿岸地域と内陸の中継交易で栄えた遠野市。海辺の人々との古くからの交流が遠野まごころネットの活動の原動力になりました。やがて共感と支援の絆は大きく拡がり、全国各地、そして海外の人々との協働による支援の輪へと繋がっています。現在被災地は復興へ向けた長期的なサポートを必要としています。当団体は今後も、全国からボランティアを募り、被災地と外部との活発な交流を通じた被災地復興に取り組んでいきたいと考えています。


東沢地区協働のまちづくり推進会議(山形県川西町)

東京都町田市の子供たちを対象とした山村留学は21年目となり、平成23年11月5日、やんちゃ留学20周年記念事業を実施した。町田市では留学生の保護者が「まちだ夢里の会」を設立し、その会員の紹介で首都圏のおにぎり専門店「おむすび権米衛」と平成19年から特別栽培米コシヒカリの取引が始まった。平成23年度、川西町の第4次総合計画と連動した地区計画第2期「夢の里づくり物語」を策定し、今後5ヵ年の新たなまちづくりに取り組み、交流事業を核とする地域づくりを展開して「東沢ファン」を増やしている。


三菱地所株式会社(東京都千代田区)

 三菱地所グループは、CSR活動の一環として山梨県北杜市の限界集落である増富地区で活動を行うNPO法人えがおつなげてと連携し、ともに支えあう持続可能な社会の実現をめざし、都市と農山村をつなぐ「空と土プロジェクト」を2008年7月にスタートさせました。年間約10回の農業体験や間伐体験等のプログラムを実施しながら、木材や農地、農産物などの地域資源と企業の経営資源を融合させ、新たな価値を生み出し、地域の活性化を図っています。


島根県立浜田水産高等学校(島根県浜田市)

本校の食品流通科は、生徒が主体となり「商品開発・宣伝PR活動・食育活動・環境活動・ボランティア活動」などをテーマとした取り組みを行っている。高校生のアイデアを活かした商品を地元経済の活性化に活かし、また、地元の美味しい水産物を日本全国に宣伝している。さらに郷土には誇れる美味しい水産物があることを地元の子ども達に伝えることで、郷土愛を育む活動も行っている。さらに近年では環境問題にも取り組んでいる。東日本大震災の際には、自分たちのできる食品作りで災害等で困っている方々役に立とうと缶詰などの保存食を提供するなどの活動を行った。地域と都市部との共生・交流、地元の魅力を全国にPRしたいと考えている。


NPO法人 霧島食育研究会(鹿児島県霧島市)

目指すのは「超ローカルで田舎っぽい」、しかも「日本で唯一、最先端」の食育活動です。地域の食文化祭を掘り起こし、食を支える農業や地域の風土を、市内外の人々が交流しながら学ぶ活動を展開しています。「都会よりこの地が豊かだと実感できる」活動は、地域住民が地域に対する愛着と誇りを取り戻す動きにもつながっています。



オーライ!ニッポン ライフスタイル賞

小栗 美恵さん(北海道千歳市

農村の持つ役割は、単に農産物を生産する現場だけでなく、都会の人達には癒しや故郷の持つ懐かしさ、憩う場としての心の拠り所であり魅力的な場所です。
又、高齢者や身体や心に障害を持っている人達も、土に触れる事、草花を愛でたり、動植物と触れ合う事で癒しや機能回復など身体と心が育む場所になります。
農産物の販売や加工を通じて、人が集まる場所作りをしながら農業者も共に刺激し合い向上し合える場所としての活動をしています。


桶谷 敦さん(宮城県石巻市)

人口が半減する急激な人口流失と約7割の高齢化率に苦しむ網地島で,島のお年寄りに講師になってもらい,昔の子どもたちの遊びや島ならではの料理作りを島外の子どもたちに体験してもらう活動を続け,子どもたちの笑顔に励まされながら,その活動を通じての仲間づくりや島外のネットワークづくりを行い,網地島のお年寄りが最後まで安心して暮らせる地域づくりを行っています。


前田 アイ子さん(愛媛県愛南町)

高速道路もJRも通っていない四国の最南端で規制緩和を活用した漁家民宿「海人(みんと)」を経営。愛南町が四国一の水上げを誇るカツオや自宅が経営する養殖ブリなどの新鮮な魚介類を使った上質な料理を提供し好評を得ている。
 また、愛南グリーン・ツーリズム推進協議会の会長として、地域に残る本物の自然・風土等を生かした地域活性化に貢献するだけでなく、町内外の子どもたちに人形劇などを通じて魚食の大切さを教えるなど活発に活躍しており、常に前向きで笑顔を絶やさぬその元気な姿は、地域のリーダーであると同時に、接する人達の活力の源にもなっている。



オーライ!ニッポン フレンドシップ大賞

NPO法人 体験村・たのはたネットワーク(岩手県田野畑村)

東日本大震災による大津波被災のため、これまで利用していた漁船、漁港、番屋を含む体験施設資材などが流失しました。それらのほとんどはまだ失ったままですが、幸い事務局員やインストラクターなど人材は無事でした。7月末にはなんとか船を調達し、「サッパ船アドベンチャーズ」を5艘体制(従来は8艘)で再開することができました。また、被災経験を風化させないために、被災集落を地元ガイドとともに歩き、震災の話を聞く「大津波語り部&ガイド」という防災教育プログラムも開始しました。 これまでのような規模の体験受入れは現状では難しく、再建の目途が立たない施設もありますが、一軒も残らず流失した番屋群については、再生プロジェクト(田野畑村役場主導、別紙参照)が始まっています。震災で受けた打撃は大きく、瓦礫撤去や仮設住宅入居は完了したものの、震災で打撃を受けた水産業や観光業はごく一部しか再開していません。サッパ船は春までに8艘体制に戻しますが、まだまだ課題は山積です。今後も地域の復興と持続可能な暮らしを目指し、防災教育やジオツーリズムなど新たな視点も加えながら、より良い未来を創造する活動を続けていきたいと思います。



オーライ!ニッポン フレンドシップ賞

みやこだ自然学校の会(静岡県浜松市)

みやこだ自然学校は、「循環型社会のミニモデルをつくり体験すること」をコンセプトに、2005年4月から活動を開始。築120年の古民家、畑、田んぼ、自然林、人工林で、人が自然と関わり、自然や命が豊かになる生物多様性の回復を目指し、田畑や森の復元・フィールド整備を行い、里山の懐かしい風景を再生しながら、自然体験と農林業体験、環境教育と環境保全の4つを統一したプログラムを年間100回以上提供している。 自然観察をベースに、田んぼの神様づくり、草木染、竹馬づくり、リースづくりなどのクラフトも実施。講師に野生生物や野鳥、植物の専門家を呼んで、生態系や共生についてのレクチャー、都田川の蛍観察や生き物観察、滝沢展望台での野鳥観察などのプログラムを実施。その他にも、川の流れを利用した「芋車」体験やソーラーパネルでの充電など、環境学習も行っている。


一般社団法人 南紀州交流公社(和歌山県白浜町)

白浜町日置川地域は過疎高齢化の波が押し寄せる中山間地域である。活力ある新たなる未来を創造するには、基幹産業である農林水産業にスポットを当てた体験交流型の観光でしかないという思いで、地域の高齢者を含む多くの人達が取り組んでいます。豊かな自然と食生産を担う農山漁村の暮らしを人間関係や自然との関わりが少ない都市の人々との交流により、互いに理解を深め心高まる活動になり、年間数千人もの受け入れ実績にまでなっている。その活動を支えるにはコーディネート組織である一般社団法人南紀州交流公社の役割は極めて大きく、さらなる発展に向けて地域一丸となって推進していきます。


愛媛大学(都会の子どもたちに豊かな心を育む取り組み~キーワードは食育と農林水産業体験)

元々、都会の食育に熱心な小学校教諭と田舎の農業高校教諭の出会いで始まった食育交流(バーチャル交流:携帯TV電話を使った生中継授業、インターネットを使った遠隔共同調理)が、様々な偶然(後には必然?)を呼び、リアルな点と点の都会と田舎の相互交流に発展、さらにその後の度重なる偶然が、都会の子どもたちを継続して、愛媛県南予地域の自然豊かな地域での農林水産業体験(田舎体験)に誘うことに繋がったことが最も特筆すべき点である。夏のイベント的な田舎体験から、夏・秋・冬の体験事業へ拡大、さらに、内子町1町から南予地域全域への拡大、四季の活動へと年々進化していることもある。受入地域の協力も大きいが、本活動は、将来を担う子供たち(小学生)を対象とするとともに、活動を支援する大学生の存在が大きい。参加者全てがWIN-WINで繋がる活動である。


高知工科大学(4大学合同インターンシップを通して社会人基礎力を磨く(高知県梼原町班))

高知工科大学では、札幌学院大学、法政大学、沖縄大学とともに、文部科学省「大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム-全国の地域で活躍できるプロフェッショナル「まちづくリスト」育成プログラム」に取り組んでいる。その一環として、2010年8月及び2011年8月に高知県高岡郡梼原町で「4大学合同インターンシップ」を実施(参加学生は高知工科大4名、他大学各2名の計10名)。高齢化や過疎化が顕著な梼原町で、学生は畑の草刈りなどの業務体験を行いながら、梼原班の課題であった、梼原町に若者が住むためには何が必要か、何が有効な資源となるかを発見し、それをどのように活かしていけばいいのかを検討を行った。