第4回(平成18年度)オーライ!ニッポン大賞
ライフスタイル賞


服部政人(北海道鶴居村)


 平成3年に会社を退職後、家族4人で大阪から北海道鶴居村に移住。標茶町育成牧場で臨時職員として勤務。その後、鶴居村酪農ヘルパー利用組合に正職員として採用され、平成11年に、農地を取得するとともに、阿寒連峰から湿原が見渡せる丘の上に、小動物のふれあい牧場とファームレストラン「ハートン・ツリー」を開店し、地元食材の牛乳にこだわった手作り料理を提供している。その後、都会では味わえないのんびりした時間を提供したいとファームインをオープン。農作業のサポートと田舎からのグローバルな情報発信を目的に、海外青年のホームステイも受け入れている。他に村内の酪農家と協力して、グリーン・ツーリズム組織「鶴居村あぐりねっとわーく」を立ち上げ、農業体験や農泊の企画・運営を進めるなど、地域に溶け込んだ新しいビジネスの展開や、外国人との交流による鶴居村の魅力発信など、第2のライフスタイルを精力的に満喫している点が評価された。



井上義・和美(山口県長門市)


 「地に足の着いた生活がしたい」と脱サラ。外国での自給自足生活の経験や、自然の理に適った生活に触れた事から、「自分で欲しいものは、極力自分で作る」をモットーに、地域の年長者から昔ながらの知恵を教わり、創意工夫しながら合鴨農法による8種類の米作りや、完全無農薬・無化学肥料の野菜づくり等を行っている。また築100年の民家を自力で改装し、百姓生活を多くの人に体験して欲しいと、築100年の民家を自力で改装し、1日1組限定の民宿「百姓庵」をオープン。平成17年には日曜限定のカフェも始め、主人自ら作った石窯で手作りピザを提供している。民宿やカフェはリピーターが増加し、中には定住する人も出てきている。客層も20~30代が大半を占め、若い人達が田舎暮らしや物づくりに興味を持つきっかけになっているなど、田舎暮らしの魅力を発信し、自身の目指す理想の生活を楽しみながら実践している点が評価された。



上田知子(高知県檮原町)


 農家に嫁ぎ、典型的な中山間地域の農林業複合経営を行っていたが、平成11年頃から、「農林産物の価格低迷」や「連作障害による作物の収量低下」等により所得が低下。経営を見直す中で、「我が家の農業・農村生活」と「地域資源」を活用した新たな収入を得る方法として、平成12年に高知県初の農家民宿「いちょうの樹」を開業。家族3世代で役割分担し、「田舎を持たない人の田舎になりたい」をモットーに、「農山村のありのままの暮らし」「家族ぐるみの温かいもてなし」を提供している。人間の魅力、一次産業の魅力、新鮮な食材の魅力の提供が多くのリピーターを惹きつけている。
 平成14年に結成した「グリーン・ツーリズムゆすはら」では会長を務め、農家民宿経営の実績とリーダーシップを求められ、町所有の民家で農家レストラン「くさぶき」を開業し、年間180万円の需要を生み出すなどの経営手腕を発揮。平成18年に設立した「こうち体験ツーリズムネットワーク」の会長に就任するなど、高知県内のグリーン・ツーリズムのリーダー的存在である点が評価された。



中嶋健造(高知県いの町)


 12年前に経営コンサル会社を退社し帰郷。元来自然好きで、平成13年に森林ボランティアに参加したところから本格的に活動を開始。地域づくり集団「194(いくよ)元気塾」の設立をきっけかに、グリーン・ツーリズムに着目し、住民、行政、NPOの協働体制を確立しつつ、森林・里山ボランティア活動を展開。本格的な林業体験と森林保全の場にするため、作業道の設置から製材・木工まで一体的に活動が出来るまでの体制を行政と共に整備。地場産品と交換できる森林証券(モリ券)をボランティア参加者に発行し、地域経済に役立つ仕組みを作っている。無形民俗文化財の「焼畑」を復活や、耕作放棄棚田で米作りを行うなど、「棚田で米を作り、山で木を切り、たまに田を焼き、山を焼き、猪の肉を喰い、濁酒を飲みながら、山村の将来を考え、動く」を理想のライフスタイルとし、自身の経験と人脈を活かし地球環境や地域経済まで幅広い視野を持って、エネルギッシュに活動している点が評価された。



田中幸雄(沖縄県読谷村)


 沖縄の島々の雄大な自然と海の美しさに魅了され、平成6年に東京から移住。旅行では気が付かなかった海岸のゴミを何とかしたいと仲間と清掃活動を開始。4年間の清掃経験の中で、1~2週間もすると元のゴミの山となる現状を改善するには、美化に対する広報と環境教育が重要と考え、平成12年にNPO法人を設立。これまでに148回の清掃活動を行い、参加人数は3,000人を超え、ファミリーを中心に260名を超える地域ボランティアが活動している。また地域の小・中・高等学校に、環境学習用CD-ROMの作成寄贈、映像等による環境教室(これまでに49校90回)開催、環境劇シナリオや環境紙芝居を制作し上演・資料公開などを行っている。地域の祭りや環境イベント等の実行委員を務めるなど、「今できることを、できる人が、できる時に、家族、プライベート、仕事優先で楽しみながら」をモットーに、楽しみながらも明確な目的を持って地道に活動している点が評価された。