第5回(平成19年度)オーライ!ニッポン大賞
講評


オーライ!ニッポン大賞


【全体の講評】

本表彰事業は、今年度で第5回目となりました。今年は全国各地から109件(オーライ!ニッポン大賞84件、ライフスタイル賞25件)の応募を頂きました。
また今年度は、昨年度に引き続き、都市と農山漁村の共生・対流という観点において類似性の高いと思われる組織や民間団体が実施されている表彰事業との連携を試み、優良な活動事例をご推薦して頂くことができました。
全体の感想としては、「子どもたちの環境教育や生きる力の醸成などを目的に農山漁村を舞台とした体験型教育旅行の受け入れを行う活動」、「広域的に連携して、豊富な地域資源を最大限に活用した交流事業に取り組む活動」、「NPO組織など中間的な立場において都市部と農山漁村を結び付けている活動」、「集落や地域が一致団結し、都市住民と地域環境や農地の保全活動等を行いながら集落維持を目指す活動」などの事例が目立ちました。
また高等学校など若い世代による農山漁村地域との交流事例や、廃校等を利活用した地域の雇用を促進する事例、地域や集落の自立を目指した産業興しの事例など、現在の世情に応じた多様な事例の応募を頂き、都市と農山漁村の共生・対流の取り組みの輪が着実に広がり、活発に推進されているという手ごたえを感じました。
審査委員会では、審査基準(*)7項目に基づき、各審査委員が熱心に議論を行い、特に「都市と農山漁村との行き来が活発であること」、「活動の内容が充実しており、地域内外に波及効果を生んでいるもの」、「活動の内容が他の地域のモデルになるような取り組みであること」などという点を重視して各賞を選定しました。
しかしながら、応募の内容はどの取り組みも大変優れたものであり、オーライ!ニッポン大賞グランプリ(内閣総理大臣賞)をはじめ、オーライ!ニッポン大賞、審査委員会長賞の選定にあたっては、各審査委員からの活発な意見が交わされ、受賞地区を絞り込むことは大変な作業となりました。
結果的には、受け入れ側の取り組みである「幡多広域観光協議会(高知県四万十市他5市町村)」が、安全で信頼性の高い体験プログラムを提供するため、本協議会がコーディネート組織となり、各市町村の体験型観光研究会と受入団体・個人等がネットワークを形成し、教育旅行という観点をいち早く打ち出し、地域資源と農林漁業、そして人材を結びつけた多種多様な体験プログラムを開発し、500名のインストラクターにより、年間2000名を超えるこども達を受け入れる活動が、地域に大きく貢献している点が評価され、グランプリに選ばれました。
このほか、惜しくもグランプリには届かなかったものの、地域・企業・大学・行政との幅広いネットワークを活かし、都市農村交流事業を始め、森林資源の活用、箱膳による食育事業など、地域の資源を活かした事業展開している「特定非営利活動法人えがおつなげて」、豊かな若狭湾の資源を活かした体験型観光事業によって漁村民宿の活性化に繋がっている「社団法人若狭三方五湖観光協会」、伊座利校の統廃合をきっかけに住民の一人一人が地域おこしに立ち上がり、その結果が人口増に繋がっている「伊座利の未来を考える推進協議会」など、いずれも優れた取り組みを展開しており、高い評価を受けました。
また本表彰事業の趣旨にご賛同いただきました連携表彰事業からは、地域を元気にし、真に豊かな日本を創造したいという思いのもと、「場所文化の創造」の独自に考え方で、地方と都市の人々の新たな交流の確立等を促し、地域への新たな資金流入と域内での資金循環の仕組みを構築し、地域の自立を目指す「場所文化フォーラム」(市民が創る環境のまち“元気大賞”)、日本のグラウンドワーク活動の先駆者で住民・企業・行政が連携して、地元の湧水を活かした水環境整備を中心にふるさとの原風景を取り戻している「三島市」(優秀観光地づくり賞)をグランプリの候補としてご推薦いただきました。
受賞団体の取り組みは、今後の都市と農山漁村の共生・対流促進モデルとなるとともに、今後一層の発展が期待されております。また、今年度の選考にあたっては、僅差で入賞を逃した事例が数多くありました。また取り組みの期間は短いものの、今後の展開に大いに期待したい取り組みもありました。より磨きをかけて、参加の輪を広げながら、再度挑戦を期待しています。


平成20年3月12日
オーライ!ニッポン大賞審査委員会
委員長  川勝 平太
(静岡文化芸術大学 学長)


(*)オーライ!ニッポン大賞 審査基準
ア 農山漁村地域を舞台とした新たなライフスタイルの提案、普及に関する取り組みであること。
イ 地域の個性を生かした取り組みであること。
ウ 農山漁村地域を活性化する効果があること。
エ 都市側、農山漁村側双方の住民の参加を促進する取り組みであること。
オ 長期的な取り組みの実績があること。
カ 効果が持続して発現すると見込まれること。
キ 他の地域における応用性に富んでいること。


ライフタイル賞


【全体の講評】

 ライフスタイル賞は、I・Uターン等により農山漁村に定住し、個性を活かした魅力的な新しいライフスタイルを実践している方々について広くその生き方を紹介し、これから農山漁村に行ってみたい、住んでみたいと思う方への参考としてもらうことを目的としています。
 受賞者については、今年度もそれぞれが熱い思いをもって独自性のあるライフスタイルを確立されており、選定に大変難航しましたが、審査委員会では、4つの審査基準(*)をもとに、様々な角度から審査を行いました。
今年度は特に、「自身の明確な目標を持って心身共に豊かな生活を実現していること」、「自身の知識を活かした地域活動の実践により、さまざまな波及効果を与えていること」、「農山漁村地域の環境を楽しみ、楽しく生活していること」、「地域に溶け込み、リーダー的存在として地域に刺激を与えていること」等に特に着目して選定しました。
 ライフスタイル賞に選ばれた方々の生き方が参考となり、今後、全国各地において、二地域居住や農山漁村へ定住する方々が増え、様々な形の新しいライフスタイルが生まれる事で、より一層、都市と農山漁村の共生・対流が推進されることを期待しています。

平成20年3月12日
オーライ!ニッポン大賞審査委員会
委員長  川勝 平太
(静岡文化芸術大学 学長)


(*)ライフスタイル賞 審査基準
ア 農山漁村を舞台とした新たなライフスタイルを実践していること。
イ 個性的で魅力のある活動であること。
ウ 新たなライフスタイルの実践に継続性があること。
エ 新たなライフスタイルが他の人の参考となるものであること。