オーライ!ニッポン フレンドシップ賞


置賜MOTTAINAIプロジェクトチーム
(置賜農業高等学校内)

山形県川西町


山形県立置賜農業高校では、畜産農家への支援と地球温暖化防止及び環境保全の取り組みを行うため、ワインの絞りかすに着目し、リサイクル飼料と家畜への供給により、食品加工廃棄物を減らす「MOTTAINAIプロジェクト」を平成18年度から開始。
置賜地域において、年間3000トンの食品産業廃棄物が排出。腐敗過程で、1トンあたり154㎏のメタンガスが発生し、約3.2トンのCO2を排出していることから、リサイクル飼料を製造することで、食品加工業者から出される残さを家畜の飼料として給与、そして、その家畜から排出された堆肥を農地に還元し、その農地から生産された野菜等を食品加工原料として利用することで、食品残さの減量化に取り組み、資源循環によるゼロエミッションを実現し、地球温暖化防止の意識高揚と併せて、地元畜産業の活性化に貢献することを目標に取り組んでいる。
特に、やまがた地鶏については、エコロジーな飼育法や残さが有する機能性物質の効果によって、生産増や飼育羽数の増大を実現する販路拡大を目指し、東京都内に在住する同窓生や山形県人会を通じてマーケティング活動を行った結果、「肉質の良さはもとより、環境に配慮した飼育法と高校生の取り組みにブランド力を感じる」との評価から、一流料亭への出荷が実現。また、科学的な分析調査により、うま味成分「オレイン酸」が多く含むことが証明されており、現在、この地鶏を「ワインDOLLY」と名付け、商標登録を申請中である。
食品産業、農家、産廃業者、行政と農業高校が一体となった取り組みは、先進的な取り組みとして、シンポジウムでの事例発表やメディアへの掲載など、注目をあびている。
また、地元の小学校には出前授業を、中学校には講演・プレゼンテーションを実施。終了後のアンケートでは、100%近い児童・生徒が環境活動に取り組みたいと答えており、地域の環境教育にも貢献。また、小中学生を対象に、「やろうと思えば出来ること」をテーマとしたワークショップも開催するなど、子ども達の環境や農業への理解に繋がっている。
この取り組みは、全校的に発展し、環境学習の有識者を招いた講座を4回開催、また、廃食油を原料としたバイオディーゼル製造を行うなど、教育活動として進展している。
(「コカ・コーラ環境教育賞」財団法人コカ・コーラ環境教育財団よりご推薦。)



特定非営利活動法人 生活工房 つばさ・游

埼玉県小川町


 生活工房「つばさ・游」は、この町をもっと知りたいという思いから、「生活」に視点をおいた地域情報紙「おがわまちマップ」の発行を行いたいと、小川町在住の主婦3名が10万円ずつ出資し、平成12年11月に設立。特に有機農業を基盤とした地産地消活動を通じて、消費者と農業者をつなぐ顔と顔の見える相互扶助型市民共生ネットワークづくりを通じて、小川町に暮らすことが愉しくなる、「小川町民幸福度」を高めることを目指して活動している。
小川町は首都圏から電車で70分、人口3万4000人の周囲を山に囲まれた風情ある「小京都」と呼ばれる里山で、自然を活かした有機農業の里として有名である。その有機農業の草分け的存在である「霜里農場」では、30年間にわたり国内外から100名を超える研修生を受け入れ後継者育成に尽力。現在、町内には31軒(うち29軒が移住農家)の有機農家が、町内農地の約5%を超える農地で有機農業を営んでいる。また、1300年以前から伝わる手漉き和紙の技術を受け継ぐ職人の生業や酒蔵が残るなど、地域の文化も色濃く残る地域である。
生活工房「つばさ・游」では、ジェンダーと環境の視点で「おがわまちマップ」を通じて、小川町の資源や環境を活かした持続可能な地域社会の実現につながる取り組みを提案するとともに、実践活動を通じて、その実現につなげている。
資源循環農業を実践する「霧里農場」の見学会では平均50名以上が参加し、その他個別の視察や見学などを合わせると、10年間で1万人以上の参加者を得ている。また、有機無農薬栽培の在来大豆を利用し、地元の豆腐屋さんと協働による地産地消商品「ぴっかり豆腐」を企画し、豆腐店の売上げに貢献している。平成21年には、消費者に小川町の農産物の美味しさを直接届けるため、市民と農家が協働して、日替わりシェフのコミュニティレストラン&カフェ「ベリカフェつばさ・游」をオープン。各曜日担当者7名が従事し、手伝いを含めると40名以上が参加しており、女性の就労の場、生きがいの場、また市民の溜まり場として活用されている。
また60周年を迎えた七夕まつりを手漉き和紙で飾り、終了後は再利用するなど、手漉き和紙の需要とゴミの減量化に貢献。また和紙の魅力に惹かれて地域や都市住民、都市部大学生、高校生までが協働して七夕飾りを制作する。この取り組みをきっかけに、和紙の原料である楮の地元栽培が始まったり、都市部企業のCSR活動との連携を図るなど、これまでの実績により、どんどん活動の幅が広がっている。
(「市民が創る環境のまち“元気大賞”」特定非営利活動法人 持続可能な社会をつくる元気ネットよりご推薦。)



神奈川県三浦市
株式会社三浦市の営業戦略「みうらシティ・セールス・プロモーション」

神奈川県三浦市


神奈川県東部、三浦半島の南端に位置する三浦市は、遠洋漁業を中心に農業・観光を基幹産業として都市を形成してきたが、近年、地理的・財政的に逼迫した状況にあり、都市基盤整備も遅れるなど、多くの課題を抱えていたことから、平成13年に「第4次三浦市総合計画」の大きな柱として、三浦を訪れる人・企業・モノ・情報を、おもてなしの心をもってお迎えする「もてなし政策」と、それを具現化する施策として「みうらシティ・セールスプロモーション」を掲げ、平成18年度からは、現市長により、「株式会社三浦市」のコンセプトが打ち出され、「みうらスタイル・プロジェクト事業」を展開している。
本プロジェクトは、「あらゆるところに“まち”を売る営業活動」で、新規性・独創性・発展性の高い事業を考え、実践しながら積極的に推進を行っている。明治大学との官学連携、千代田区との連携による「三浦市東京支店事業」、NPO法人みうら映画舎との官民協働による「フィルム・コミッション推進事業」、Jリーグクラブやプロ野球球団との連携、川崎競馬組合との協働による地場産品消費拡大推進事業、旅行代理店とタイアップした観光誘客宣伝事業や教育旅行の誘致など、従来型の自治体では模倣できない施策として、全国から注目されている。
特に三浦市ブランドの食のコンテンツを活用したイベントや、三崎まぐろ拉麺、まぐろソースカツ丼など新しい食の開発などにより、三崎朝市や産直センター「うらり」を中心に、年間170万人が訪れている。フィルム・コミッション事業では、平成19年度年間130本、320日を超える撮影が行われ、シャッター通りと貸した商店街に「ロケギャラリーR-0」を開設し、新たな活性化の拠点として注目される。また観光客の誘客では、東北から関西の旅行代理店を中心に、最大1日8社を回り、旅行代理店のニーズを蓄積・分析することで、地域資源を商品化する手法を検討し、地元料理店との協働による、斬新なメニュー開発を行うなど、観光の目玉商品づくりを行っている。平成19年度には、旅行会社によるツアーが年間17本催行され、1000名を超える観光客を誘致。平成21年度から教育旅行にも取り組み、兵庫県、愛知県、埼玉県、神奈川県から4校延べ396名を受け入れ、平成23年度の予約がすでに300名に近づき、増加が見込まれるなど、官民が一体となり、市を上げて取り組む事業により、地域への社会的・経済的効果が広がっている。
(「優秀観光地づくり賞」社団法人日本観光協会よりご推薦。)