第1回 活動の目的について


これから約5カ月間にわたって、弊社が行なっている全従業員3,000人で棚田地域などの中山間地域で社会貢献活動を実施する「高齢化する村を応援するプロジェクト」についてご紹介させていただくことになりました。社内ではこの活動をC-day(シーデイ、Contribution day =貢献する日 の略)という愛称で呼んでいますので、以下「C-day」と呼ばせていただきます。農山村での社会貢献活動を検討されていらっしゃる企業や、企業ボランティアの受け入れに関心をお持ちの農山村の皆さまにとって、何か少しでも参考になることがあれば大変嬉しく思います。どうぞよろしくお願いいたします。
第1回目は、なぜ私たちがこのような活動を実施しているのかについてご紹介します。(写真=青森県三戸町梅内での作業前の様子)


◆CSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)活動

弊社は医療用医薬品に特化した製薬企業として、当然のことながら、疾病の治療および患者さんの生活の質(QOL)を高める医薬品を市場に継続的に提供することを我々の社会的責任として確実に実行しております。しかし、そうした本業を通じた社会への貢献や財務面での信頼獲得に加えて、社会・環境面からも「賞賛されるリーディングカンパニー」として様々なステークホルダーの方々から信頼され、社会とともに持続的な発展を遂げることを目指して、様々な社会貢献活動を実施しています。
その一つが、C-dayです。


◆コーポレート・シチズンシップ

C-dayの目的の一つは、「コーポレート・シチズンシップ」という概念を具現化することです。「コーポレート・シチズンシップ」とは、企業も「良き企業市民」として地域に貢献するのは当然であるという考え方です。企業そして従業員は、道路や電車などをはじめとした地域インフラを利用したり、地域の皆さんの様々なサポートに支えられて日々業を営んだり、生活したりしています。それに対する還元をしようということです。さらに、企業も社会の一員である以上、社会の持続・発展なくして企業の持続・発展もありえないという点からも、地域貢献は当然のことだと言えます。

もう一つの目的は、社員の一体感を醸成することです。2000年にアストラジャパン社とゼネカ社の合併を経て誕生した会社であるため、チームビルディングや同僚とのコミュニケーション向上が会社としての課題だったのです。
C-dayは、地域に貢献しながら、社員にも様々なよい影響を与える活動となりました。活動の結果については後日あらためてご紹介します。


◆高齢化・過疎化した農山村というテーマ

さて、地域貢献のテーマは様々あるなかで、なぜ高齢化・過疎化した農山村という問題に取り組むことになったのかについてよく尋ねられます。私たちは、人々の健康に貢献する製薬企業が取り組むべき活動として、「人」と人を取り巻く「環境」に貢献する活動を展開したいと考えていました。そんな中、市民や企業のボランティア活動等を支援されている社会福祉法人東京ボランティア・市民活動センター(TVAC)を通じて、NPO法人棚田ネットワークと出会いました。そして、棚田地域などの中山間地域は、洪水や土砂崩れを防いだり、生物多様性の保全に寄与したりといった多面的機能(価値)を有しているにもかかわらず、高齢化・過疎化による耕作放棄が進み、村や集落を維持することが困難になっているという社会的課題を知るに至り、「高齢化・過疎化した農山村(環境)と、村を守っていらっしゃる高齢者の皆さん(人)に貢献する」というテーマを選択することになりました。(C-dayは、TVACと棚田ネットワークの協力を得て推進しています)

以上が、弊社がC-dayを実施する理由です。

次回からは、活動実施のプロセスをご紹介していきたいと思います。


アストラゼネカ(株)
コーポレートマネジメント統括部 広報部
小野亜希子

2010年7月14日