6.低炭素社会実現を目指した都市と農山漁村の連携について


従来の森林等の吸収源活用を活かした取組に加えて、豊富なバイオマスの利活用による化石燃料の代替効果、そして遊休地等の未利用地の利活用といった対策が挙げられ、将来に向かって対策とその対策を担う人材の育成を講じることにより農山漁村地域の削減効果は大幅に期待できる
2020年までにCO2の90年比25%削減に向けて

地球温暖化防止対策においては、CO2の削減が必須となっており、わが日本は、「2020年までにCO2の90年比25%削減」との国際公約を掲げている。農山漁村については、地域の化石燃料消費量の基礎データが十分に整理されていないことから温室ガス排出量の把握が困難で排出量削削減対策がとりくにい。しかしながら、従来の森林等の吸収源活用を活かした取組に加えて、豊富なバイオマスの利活用による化石燃料の代替効果、そして遊休地等の未利用地の利活用といった対策が挙げられ、将来に向かって対策とその対策を担う人材の育成を講じることにより農山漁村地域の削減効果は大幅に期待できる。現在、「地球温暖化対策の推進に関する法律」(第20 条の3関係)において、都道府県、指定都市、中核市及び特例市(都道府県等)は、地方公共団体実行計画の中で、「その区域の自然的社会的条件に応じて、温室効果ガスの排出の抑制等のための施策について定めることとする」となっている。




カーボン・オフセットという仕組み

農山漁村地域がCO2(温室ガス効果)削減を取り組むことは、低炭素社会実現に向けた都市との連携というメリットが存在する。
具体的には、カーボン・オフセットという仕組みによって、農山漁村地域の温室効果ガス(GHG)の削減を行うことで、都市部や企業等との経済価値の交換が行える。
カーボン・オフセットとは、他の場所で削減・吸収された温室効果ガスをクレジットの形で購入し、削減分として活用することである。「カーボン・オフセットのために活用することが出来、その削減・吸収活動が日本国内で行われる」という観点から、オフセット・クレジット(J-VER)制度が大いに注目されているのである。
カーボン・オフセットとは、自らの温室効果ガスの排出量を認識し、主体的に削減努力を行うとともに、削減が困難な部分について、他の場所で実現した排出削減・吸収活動等により、その排出量の全部又は一部を埋め合わせること。
カーボン・オフセットの取組を広めるためには、カーボン・オフセットの取組について信頼性を構築する必要があり、環境省が2008(平成20)年2月にとりまとめた「我が国におけるカーボン・オフセットの在り方について(指針)」では、カーボン・オフセットに用いられるクレジットについては、確実な排出削減・吸収があること等の一定の基準を満たしていることを確保する仕組みが必要であるとされた。
市民、企業等がカーボン・オフセットを行う際は、これまでは、主として海外のプロジェクトによる京都メカニズムクレジットが利用されていたが、国内における排出削減・吸収活動によるクレジットが活用できれば、国内の排出削減対策の推進に貢献するとともに、市民、企業等がカーボン・オフセットをより身近なものとして認識で
きる効果が期待されていた。
そこで、環境省では、2008(平成20)年3月より、「カーボン・オフセットに用いられるVER(Verified EmissionReduction)の認証基準に関する検討会」を設置し、国内排出削減・吸収プロジェクトにより実現された温室効果ガス排出削減・吸収量をオフセット・クレジット(J-VER)として認証する制度について検討を行い、2008(平成20)年11月14日、オフセット・クレジット(J-VER)認証運営委員会を開催し本制度を立ち上げ、2008(平成20)年11月17日より、本制度に基づく申請の受付を気候変動対策認証センター(事務局 社団法人海外環境協力センター)において開始した。