第10回オーライ!ニッポン大賞 審査委員会長賞
摂南大学ボランティア・スタッフズ(大阪府寝屋川市)


[地域:近畿]

受賞者の概要


大阪と和歌山県すさみ町の子どもたちが共同生活を通じて交流する自然活動体験学習プログラム「忍者キャンプ」が好評。

活動年数:3年(前身活動1年)
年間の活動日数:約40日
活動エリア:和歌山県すさみ町佐本地区
活動拠点施設:旧・佐本小学校(2009年廃校)
部員数:約120名


受賞の内容


消失の危機にあった村の伝統行事「柱松祭り」を継承。

若い労働力の不足に悩む限界集落をサポートする「なんでもやろう隊」。

 摂南大学ボランティア・スタッフズは、過疎化高齢化が進む和歌山県南部のすさみ町で様々な貢献活動を実践。大学のある寝屋川市からバスで片道5時間の距離にある同町は、人口約4,700人、町内39集落のうち65歳以上が過半を占める限界集落が19。市と町が友好都市提携をしている縁で、平成22年3月に大学と町が包括連携協定を締結した。
 すさみ町は、イノシシとブタをかけあわせた「イノブタ」にちなんだ「イノブータン王国建国祭」や、鮮度と独特の漁法が特徴の「すさみケンケンかつお」をPRする「すさみケンケンかつお祭り」など、各種のイベントを開催してきた。担い手不足で年々開催が困難となってきたため、学生たちが会場係、裏方係、準備係、駐車場案内係、盛り上げ隊など様々な形でイベントの開催を支援。これまでの3年間に計13回、延べ370名の学生が参加した。
 山間部の佐本地区にある旧・佐本小学校(平成21年廃校)を拠点に、自然活動体験学習「忍者キャンプ」を毎年夏休みに実施。これまでの3年間に寝屋川市など大阪の子どもたちと学生スタッフ等400名が参加し、地元の住民や子どもたちと交流している。竹ランタン等の工作を通じてものづくりの楽しさを体感できる「忍者工作教室」、自主性や協調性の育成をねらいとした「忍者ゲーム」、川遊びは「忍者水遁の術」、夜の小学校校舎を探検する肝試しは「子供忍者による鬼退治」という具合に、学生たちは毎回知恵を絞り、子どもが興味と関心を持ち、教育効果が得られるプログラムを企画している。
 佐本地区に220年以上伝わる「佐本川柱松祭り」は、お盆の夜、20メートル近い高さの柱の上に松明を投げ上げ、先端に取り付けた鳥の巣状のわらに点火させ高所の炎で天に願をかける伝統行事。主催してきた地元保存会の解散により消滅が危惧されたが、24年からは元保存会会員らの指導を受けながらスタッフズが継承することとなった。
 「なんでもやろう隊」は、佐本地区の高齢者の困りごとを解決するため、交流会で学生が住民ニーズを聞き取り、雑草刈り、水路掃除、築100年の旧・上戸川小学校校舎の修繕、一人暮らしの高齢者のお宅を訪問する見守り活動等を実施している。
 一連の活動は、佐本地区、公民館、NPO、観光協会、町、県等、多様な主体の協働によって支えられている。これらの活動を通じて、地元には地域づくりに向けた元気と意欲が生まれ、学生は自ら課題を発見し解決する能力、責任感、プロジェクトを動かす協調性等を身に付ける効果が期待されている。


講評


 片道5時間かけて通い続ける学生たちの頑張りと、大学本体が町と包括連携協定を結び積極的に地域づくりに参画する姿勢から、活動の継続性と信頼性が高いと評価されました。地元の人々との関係の築き方など、限界集落活性化の一つのモデルになってほしいと期待しています。