第10回オーライ!ニッポン大賞 審査委員会長賞
ふくしまキッズ実行委員会(福島県鮫川村)


[地域:東北]

受賞者の概要


受入先は、北海道、神奈川県、愛媛県、長野県、岐阜県へと拡がった。

活動年数:2年(前身活動26年)
年間の活動日数:約50日
活動拠点施設:WARERA元気倶楽部(福島県鮫川村)
活動エリア:北海道、神奈川県、愛媛県、長野県、岐阜県、福島県
参加者数:1,870(2011夏冬、2012春夏の合計)


受賞の内容


野外で、いきいきと遊び、子どもらしい笑顔をとりもどした福島の子どもたち。

放射線量が低い福島県鮫川村でも受入を再開。

 東日本大震災後に発生した福島第一原発の事故により、福島の子どもたちは1日のほとんどの時間を建物の中で過ごすことを強要されることになった。「ふくしまキッズ」は、せめて学校の長期休暇中だけでも、子どもたちが放射線の不安から解放され、野外での活動を思いっきり楽しみ、子どもらしい笑顔と元気を取り戻してもらうための活動として企画・実施されている。
 委員長の進士徹氏は東京出身。昭和61年に鮫川村へ移住して以来、25年間、子どもたちの山村留学を中心に、地域資源を活用した体験・教育のプログラムを継続してきた。
 原発事故後は活動の休止も考えたが、福島の子どもたちに笑顔を取り戻したいと願い、平成23年の夏休みに北海道で「ふくしまキッズ夏季林間学校」を実施した。滞在期間は1週間から1か月。受付開始直後に定員200名を超える応募があり、受入体制を強化して追加募集を行い、最終的には518名が参加した。国内外から多くの寄付や支援物資が寄せられ、278名のボランティア、34世帯のホームステイ引き受け家庭、64名の協力スタッフ、96のNPO・企業・団体等の協力によって実現した。
 このプログラムは、単なる避難ではなく、訪問先での様々な野外活動、体験活動、人々との交流等を通じて多くの学びがある教育事業として企画されている。
 参加した子どもたち、保護者、支援者等から活動の継続を求める声が多く寄せられたため、運営体制を常設化し、冬と春も実施することとなった。冬は北海道、神奈川県、愛媛県の3か所で計190名。春は北海道、神奈川県、長野県、岐阜県の4か所で計124名。今年の夏は北海道9コース、愛媛県1コース、福島県4コースの計14コースで、最長1か月、計520名の参加者で実施した。
 参加した子どもたちは、「当たり前のことがいかに幸せか」を実感しながら、強く、大きく成長している。ある小学1年生の少女は、2週間のプログラムを終えて帰宅した後、母親にお手伝い1回につき10円のご褒美を求めるようになった。コツコツと貯金して「他の子どもたちが一人でも参加できるように寄付する」のだという。
 取組みを通じて関係する大人同士の協力関係が生み出され、受入地域にも活気がもたらされている。


講評


 原発被害に苦しむ福島県内の子どもたちに学校の長期休暇を活用して県外各地で野外体験を中心とした教育プログラムを展開する活動は敬意に値し、これまでに延べ1,870人が参加し、受入地域も全国に拡がるなど、運営の仕方や資金調達方法などが他の見本になると評価されました。


副賞として「のぼり」が贈呈されました

贈呈された「のぼり」は、写真右端の赤いのぼりです。子どもたちの安全確保と、活動のPRのために利用されることになります。