第10回オーライ!ニッポン ライフスタイル賞
海藤節生さん(宮城県七ヶ宿町)


[地域:東北]

受賞者の概要


体験学習で小学生を指導する海藤さん。

【都市から農山漁村へ移住】
 町主催の交流事業への参加を機に、自らも町内で自然体験活動を実施。5年前に活動拠点を町に移し、仙台から移住。

【地域での実践活動(5年)】
 仙台市を含む7市10町の約183万人の水瓶「七ヶ宿ダム」の湖畔を中心に「七ヶ宿・山がっこ」等の環境啓発及び環境保全活動を実践。小・中・高等学校と連携した体験学習や、東日本大震災の被災地支援等にも精力的に携わる。




受賞の内容


自然を体験しながら山林の維持管理を進めている。

被災地の要望にあわせた支援にも積極的に携わる。

 ロックバンド「ハウンド・ドッグ」の初代ベーシスト。様々な職業を経た後、仙台で環境保全活動に携わる。
 10年程前に七ヶ宿町主催の交流事業「ゆのはら山の学校」に参加し、3年間、年4回の農作業体験等の交流を通じて町の自然や地域の人々に感銘を受け、終了後も仲間たちと一緒に中学校跡地を借りて春と秋の年2回、仙台市内の子供たちを対象に自然体験のキャンプを行った。
 平成19年、七ヶ宿ダム周辺に活動拠点となるピザ屋を開店し、家族とともに仙台市から移住し、地域の人から空き家を借りて、移住後も草刈りや用水路の清掃など地域の活動にも積極的に参加しながら、平成20年にNPO法人水守の郷・七ヶ宿を設立、理事長に就任し、活動を本格化させる。
 「七ヶ宿・山がっこ」は、子供から大人まで、都市住民が森林や木に触れあいながら学べる場を提供する活動として、県や林業後継者の団体「仙南フォレスト倶楽部」等と連携して年4回実施し、毎年40人程が参加している。山林で枝打ちや木の伐採、チップロードのチップ運びなどの作業を体験したり、拾ってきた木の枝で五右衛門風呂を沸かしたり、テントで宿泊したりと、地域の達人を講師に、自然の中での暮らしを体感しながら、森林の維持管理にもつなげている。
 また、小・中・高等学校と連携して体験学習も行っており、23年度は、町内の学校行事で基調講演や田植え体験、山林に不法投棄されたゴミの回収等、24年度は、町内の小学校と白石市の小学校との合同宿泊交流や、ダム湖でのボート体験、ダム施設見学等の水に関する学習を行い、ダムの上流と下流の学校が交流を進めることにより、災害時などに助けあえる関係を築いてもらいたいと考えている。
 震災後は石巻市北上町十三浜の復興を支援しており、地域にある建物を宿泊所に改装して受入体制を整備、ボランティアのコーディネート、ガレキの撤去作業、更にはガレキに埋まった田んぼを共同農園として再生、津波などにより切り倒された木から材をとり通学する子供たちのためのバス停を作るなど、地域に寄り添い支援を続けている。
 七ヶ宿における環境保全活動は、ダムを水源とする都市住民にとって、机上論ではない現実的な環境教育の場として重要であると同時に、今後も活動を継続・発展させ、賛同者を一人でも多く町に呼び込むことを通じて、町の過疎化・高齢化、農地・山林の荒廃を食い止めたいと考えている。


講評


 様々な職業を経験した後、過疎化・高齢化した山村の再生をめざす都市農村交流事業への参加を契機に山村に定住し、都市住民を対象とした自然体験活動、町内外の小・中・高校生を対象とした体験学習、東日本大震災復興支援のボランティア活動などに積極的に携わる等、ポジティブな活動内容が高く評価されました。


副賞として「ビデオプロジェクタ」が贈呈されました

体験活動前後の座学にビデオプロジェクタを使って解説することで、学習効果を高める狙いがあります。また、地域外に出かけて行って取組内容を広める際にも活用いただいています。