第3回(平成17年度)オーライ!ニッポン大賞


標津町エコ・ツーリズム交流推進協議会(北海道標津町)


 世界自然遺産に登録された知床半島の玄関口に位置し、国内屈指の漁獲を誇る秋鮭やホタテ貝を主力とする漁業とこれらを原料とする水産加工業、そして広大な牧草地を活用した約2万頭規模の酪農による「生産の町」としての特徴を生かし、標津版エコ・ツーリズム事業を展開している。

特に標津町では、国内で初めて漁獲・市場・加工・流通までを高度な衛生管理において地域で一貫して行う、食品供給システム「地域HACCP(ハサップ)」を導入し、このシステムを学習の場に活用している。

また、全国で初めて実施した知床の大自然の中での忠類川サーモンフィッシングや、イクラ作り、貝剥き体験に加え、最近では広大な牧草地帯での大型酪農体験コース(ファームスティ)を体験メニューとして加えるなど、地域の自然、産業、生活、食そして遊びなどの地域の資源を生かした、特色ある体験メニューを積極的に開発している。

また、地域の各分野の名人が事前に講習などを受けて、地域ボランティアガイド(85名)となって受入れを行っており、平成17年度は首都圏、近畿圏などの小学校から高校生まで13校1,400人泊を受け入れている。

このように、地域の資源を最大限に生かすとともに、シルバー世代が受入側として活躍するなど、地域をあげた取組みを行っている点が評価された。



特定非営利活動法人 地球緑化センター(東京都中央区)


 地球緑化センターは、平成5年の設立以来、個人、行政、企業、学校など様々な人を対象に「緑のボランテイア」を育成し、その活動を応援する取組みを行っている。平成6年からは、緑の村おこしを進める市町村に1年間隊員を派遣し、農林業活動や役場の補助的業務をはじめ、受入市町村の村おこし活動やその地域での生活を積み重ねることで、自己の生き方を見つめる機会を提供する「緑のふるさと協力隊」の取組みを実施しており、派遣する隊員の募集、派遣先の選定、派遣終了後の活動報告までサポートしている。特に派遣された隊員が地域に溶け込むために派遣期間中は24時間交代で、隊員からの相談をセンターの職員が受け付けるとともに、派遣された市町村にも訪れ、隊員に的確なアドバイスを行うなどの手厚いサポート体制をとっており、これが1年間の長期派遣にもかかわらず、途中で辞退する隊員がほとんどなく、その後の定住につながる割合を高くしている。

 参加者の平均年齢は25歳(平成17年度)で若い世代に働くことの意義を知ってもらうことで、農林業の担い手の確保だけではなく、ニート対策にも繋がっている。

 11年間の取組みで30市町村に277名を派遣し、そのうち94名が派遣先に定住し、その定住率は34%にのぼっている。また、定住までには至らなくとも派遣された隊員が中心になり、地域で新たな事業展開に参加したり、地元の人々の気がつかない山村の魅力を発見して情報発信を行うなど、このように都市と農山村の橋渡しを行っている活動が地域の活力と活性化に貢献している点が評価された。



越後田舎体験推進協議会(新潟県(広域))


 新潟県の南西部に位置する東頸城地域は、ブナの原生林が広がり、全国各地で姿を消しつつある棚田やかやぶき屋根の民家が数多く残っている。しかし一年中の3分の1は雪に閉ざされる厳しい自然条件に加え、過疎化や高齢化の波が押し寄せるなど様々な問題を抱える中で、今後「観光」で生き残るための戦略として、これまでのスキー場と温泉施設という観光から「体験型観光」にシフトしようと、平成10年に旧東頸城郡6町村の宿泊、体験施設、地域の人々、行政がお互いに協力・連携し、「体験」への共通理解のもとに、「豊かな心」や「生きる力」を育むプログラムを提案し、修学旅行や体験旅行の受入れ活動を行っている。

 越後田舎体験は、自然体験、農林業体験、農村生活体験、食体験、工芸体験、雪国体験、スポーツ体験など、参加者の希望や季節に合わせて80以上のプログラムから選択できるようになっており、その体験のフィールドは棚田を始めとする生産の現場そのものを活用し、地元の生産者がインストラクターとなり受入れを行うなど、本物の体験の提供に努力しているこのように、「日本の田舎の原風景」とそこに生きる人の生き様を魅力的な資源として着目し、同じような問題を抱える中山間地域が広域に連携して地域の活性化に取り組んでいる点が評価された。



特定非営利活動法人 北はりま田園空間博物館(兵庫県西脇市)


 兵庫県の中央に位置する北はりま地域は、中国山地の嶺南で長い歴史と豊かな文化を育んできたが、近年の高齢化、少子化等により、地域を取り巻く環境は厳しくなってきた。そこで、住民のもつ閉塞感を払拭し地域の魅力を再発見することで、自信を取り戻し地域の活性化を図ろうと、北はりま地域の1市4町(中町、加美町、八千代町、黒田庄町、西脇市)全体を屋根のない博物館に見立てて、数多く点在する地域の魅力(環境、行事、祭り、生活、産業、文化施設など)を、住民が自主的に活動する拠点(サテライト)としてNPO北はりま田園空間博物館に登録し、当博物館では様々な媒体を用いて、地域内外に情報報発信を行うとともに、ツーリズムバスを仕立てるなど積極的な集客活動を行っている。

 この博物館は平成14年9月にオープンした総合案内所を活動拠点として、120人のボランティア会員とサテライト、プログラム、特産品など各部会で組織される。現在サテライトの登録は209件、推計3,000人が関わっている。

 この活動を契機に、地域外からの交流も盛んになり、これが刺激になって地域住民の活動が活発化し、特産品開発などの動きにも繋がっている。ここで開発された特産品や産品は、年間約128万人が訪れる道の駅を兼ねる総合案内所で販売され、その収益がこの事業を大きく支えている。

 このように、地域住民、行政、NPOなどがうまく連動し、地域経済の活性化につながるアイデア豊かな活動である点が評価された。



特定非営利活動法人 NPO砂浜美術館(高知県黒潮町)


 「私たちの町には美術館がありません。美しい砂浜が美術館です。」というコンセプトのもとに、それまで地域住民には当たり前のものでしかなかった長さ4kmの砂浜を世界でたった1つの美術館に見立てて、海からの漂流物、鳥の足跡、産卵にくるウミガメ、沖を泳ぐクジラなどを作品として捉えることで、自分達の地域にあるものを活用し、価値を生み出す活動を行っている。

 この美術館では、平成元年に開催した「Tシャツアート展」をきっかけに、「らっきょうの花見」「漂流物展」など砂浜を舞台にユニークなイベントを開催し、年間3万人の人々が訪れている。特に今年で17回目を迎えた「Tシャツアート展」は、毎年1,000点を越える応募と、8,000人ほどの来場者が訪れる。また、町内の女性グループが廃校を宿泊施設として活用しており、このイベントのボランティアスタッフが滞在する間は、地域の女性達が宿泊・食事の世話を行っている。この触れ合いはお互いの大きな感動となり、ボランティアスタッフが地域の魅力や感動を多くの人に伝えるなどPRに繋がっている。このように、『砂浜』の物の見方を変え、発想を豊かにすることで、自分の町に大きな価値を作り上げるこの活動は、大方町に年間約3万人という交流人口をもたらしており、地域住民と地域外からの住民が相互に関わり刺激することで地域が元気になる活動である点が評価された。