GT商品開発教室 連載講座 1 「GT商品開発のはじめに」


都市農村交流活動事業を効果的に実施し成果を確実にするためには、情報発信活動が極めて重要である。しかしながらどのように情報発信するのか、誰をターゲットにすればよいか等、取組の仕方も多様であり、クチコミからマスメディアを活用した宣伝活動まで多種多様なアプローチがある。
はじめに

都市農村交流活動事業を効果的に実施し成果を確実にするためには、情報発信活動が極めて重要である。しかしながらどのように情報発信するのか、誰をターゲットにすればよいか等、取組の仕方も多様であり、クチコミからマスメディアを活用した宣伝活動まで多種多様なアプローチがある。そこで、オーライ!ニッポン会議が実施したグリーン・ツーリズム商品コンテスト優秀賞受賞団体の取組事例を参考に、交流を着実に推進するための集客ということを目的に、農山漁村側がどのような戦略を立てるかの参考にしていただくために、都市農村交流のための情報戦略をオーライ!ニッポン会議の企画委員会の下に設置された共生・対流の情報戦略ワーキング・グループでの意見交換を中心に事務局がまとめたものである。


講座の主な内容
・グリーン・ツーリズム商品コンテストとは
・優秀賞の5点
・開発の前に考えること
・商品開発のプロセス
・良いグリーン・ツーリズム商品とは
・具体的な商品開発事例(ケーススタディ)
・都市農村交流のための情報発信の戦略(ケーススタディ)
・「プレスリリース」のすすめ
・フリーペーパーの活用
・市民メディア(みんなが放送局)
・コンテストによる参加型情報発信
・リピーター(常顧客)化を進める


1.グリーン・ツーリズム商品コンテストとは

都市と農山漁村の共生・対流を国民運動として推進するにあたっては、さまざまな場面で都市生活者の農山漁村への訪問機会を創出し、グリーン・ツーリズムの認知度向上や普及啓発を図ることが求められている。
そうしたことから「ようこそ!農村へ」キャンペーンの一環として、オーライ!ニッポン大賞受賞地域をはじめとした農山漁村地域をフィールドとした旅行商品の企画提案を公募し、それらの中から優れた事例を選定・表彰する「グリーン・ツーリズム商品コンテスト(以下「GT商品コンテスト」)という。」を実施し優秀賞には、モニターツアー実施のための支援として各50万円を助成した。
「ようこそ!農村へ」キャンペーンは、GT商品コンテストの企画提案の公募段階から選定結果の公表、モニターツアーの実施ならびにその成果の検証まで含め、商品化に至るまでの一連のプロセスを幅広く普及・PRしていくことで旅行事業者、業界におけるグリーン・ツーリズム商品の開発・販売に向けたインセンティブを高めるとともに、共生・対流の普及・定着を図るものである。
平成21年度から実施し、21年度は66件、平成22年度は、83件の応募があり、22年度は、優秀賞5点、特別賞3点を選定した。


2.優秀賞の5点

優秀賞の5点は以下のとおり、5点とも大都市発の旅行ではなく、近隣都市から出発する着地型旅行商品である。

●七戸にんにく里親物語
 提案者:七戸町かだれ田舎体験協議会(青森県七戸町)
共同提案者:青森通リズム株式会社(青森県八戸市)

●【大人の楽校】いちのせきでタイムスリップ!~過去から現在・未来へ、つなぐ・伝える食体験~ 
提案者:たびれっじ推進協議会(岩手県一関市)
共同提案者:株式会社JTB東北奥州支店(岩手県奥州市)

●「山の内雪まつり!!今年は日本中からまつりを一緒に作ってくれるかた募集します!」大作戦
提案者:株式会社ティー・ゲート(東京都)
共同提案者:山の内地域づくり協議会(山形県村山市)

●いすみツーリズム2010 房総いすみで美と健康と癒し体験ツアー
提案者:NPO法人いすみライフスタイル研究所(千葉県いすみ市)
共同提案者:近畿日本ツーリスト株式会社(東京都)

●古の風に願いを乗せて旬の島食材を王都に集めろ!壱岐の島歴史ぐるめぐりツアー
提案者:壱岐体験型観光受入協議会(長崎県壱岐市)
共同提案者:株式会社農協観光九州グリーンツーリズム支店(福岡市)


3.「開発」の前に考えること

ふるさと産品開発において最も重要な課題は、「果たしてその商品が売れるものか」さらに追求すると「お金を出して買ってくれる人はどこにいるか」という2点だ。
農山漁村を訪問するグリーン・ツーリズムも商品である以上、その点は全く同じだ。
極論すれば、これを確認する作業がマーケティングである。本稿では、都市と農山漁村の交流を行う農山漁村の関係者が商品開発の最終段階でぶつかる集客という活動のために、情報戦略の面から、商品開発から参加者募集の販売活動を考察した。
商品開発における情報活用の第一段階では、その商品についての市場性や消費者ニーズを無視することなく、適切に売れる商品はどのようなものかを考えることと言い換えることができる。商品を開発してしから、「さあ、売り先を考えよう」といっても、これだけ旅行商品があふれている時代では、満足に集客するのは困難だからだ。
 そこで、グリーン・ツーリズム商品開発のキーポイントを整理すると、
①ターゲットは誰にするのか。
②ニーズは存在するのか。
③従来にないアイデアがあるか。あるいは、④価格等さまざまな面で競争力があるのか。⑤多くの人に知らせる手段が講じられるか。といったことが大切なのだ。

 いきなり上記のポイントを考えるといってもすぐにはできないこともある。そこで、参考情報を収集する。グリーン・ツーリズム商品では、どのようなものに人気があるのか。どんな体験等に人気があるのか。既存の商品を参考に自地域での開発可能性を検討するのだ。
 例えば、グリーン・ツーリズム商品コンテストで優秀賞を受賞した商品を参考にすることができる。各ツアーの内容等をオーライ!ニッポンWEBサイトから情報発信しているので、参考にしてもらいたい。