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連携事業の概要

○ 市内の酒造メーカーが、地元から良質の焼酎原料さつまいもやリキュールの原料となる柑橘類を調達するため、引き取りの際の品質を厳しくしたり品質基準について生産者と協議を重ねるなどして、高品質の原料を調達している。それによって農業サイドでは品質の向上に役立つとともに、安定した販売先の確保につながっている。
○ そのメーカーでは、原料確保と農家の育成をねらいとして自ら農業生産法人を設立して社員によるさつまいもの栽培に取り組んでいる。
○ また、同社を含む近隣の酒造メーカーが「西薩クリーンサンセット事業協同組合」を設立し、焼酎粕を飼料化や堆肥化、燃料化してバイオマスの利活用に取り組んでいる。

農業と連携を図っている工業の概要

○ 酒造メーカーは明治元年に地元で操業し、平成12年に西薩中核工業団地に新工場を建設した。西薩中核工業団 地は埋立地に造成したもので、農工団地とは異なる。
○ 繁忙期には従業員100人以上で県内でも大手の焼酎メーカーである。
【芋焼酎について】
○ 芋焼酎には独特の臭味があるが、これは食用にならない鮮度の落ちたさつまいもを使っていたことから生じる。このため同社では農家から買い入れる原料さつまいもの基準を厳しくし、鮮度の高いさつまいもを用いるなどして臭味を抜く努力をしてきた。
○ 国税庁は、国内の「地理的(原産地)表示」の保護対象に「薩摩焼酎」を指定しており、その条件は鹿児島県産さつまいもを使い、製造から容器詰めまでの全工程を県内で行うこととなっている。このため、現在は県内の焼酎メーカーが作る芋焼酎は100%県内産のさつまいもを使用している。
○ 原料芋は県内一帯から調達しているが、“串木野産のさつまいもから串木野で作った焼酎”にこだわりを持っており、そのためには現地で調達する芋の品質向上が重要である。現状では、収量、品質とも南薩産のさつまいもの方が優れている。
○ 商社、仲買業者から原料さつまいもの大半を仕入れており、一部を農家からの直接持ち込みでまかなっている。生産期には100t/日のさつまいもを仕入れ、うち現地産は5t程度である。
○ 同社では原料の確保と農家の育成をねらって農業生産法人(株式会社)を設立し、社員がさつまいもの栽培を行っている。
【リキュールについて】
○ 当地産のサワーポメロ(オオタチバナ)は甘みと香りが豊かな柑橘類だが、花の香りが強い品種のため、訪花害虫が多く寄りやすく傷がつきやすいので、加工品としての活用が課題となっていた。酒造メーカーは農協、市とリキュールを共同で開発し、生産者と協議しながら使用できる品質基準を定めてきた。
○ 選果場に持ち込まれた原料をメーカーが搾っている。ポメロは皮が厚く搾り方によ

○ ポメロを使ったビール等の開発にも乗り出している。
【バイオマスについて】
○ 同社を含む酒造メーカー6社が「西薩クリーンサンセット事業協同組合」を設立し、工場に飼料化施設やバイオガスプラントを設置して焼酎粕のバイオマスとしての活用に取り組んでいる。
○ 焼酎粕は焼酎1.8lに対して倍量発生し、かつては海洋に投棄していた。2001年に事業組合を設立し、飼料、エタノールとしてリサイクルを行っている。
○ 飼料では薩摩黒豚など県内の農家に提供、エタノールは自社工場で燃料として使用している。バイオガスプラントは、近く実用化される予定である。

地域農業の概要

【焼酎について】
○ 焼酎原料となるさつまいもは食用に適さない鮮度が落ちたものを酒造メーカーに持ち込んでいた。さつまいもの生産・流通は他品種と競合する時期は後回しにされるなど、農家の事情に左右されがちであった。一方、さつまいもは掘る時期を調整するなど生産調整が利く品目であり、掘ったばかりの鮮度の高いさつまいもを供給するなど農家の側も焼酎メーカーの要求に応えて品質向上の努力をしている。
○ 品質が良ければ酒造メーカーが確実に買い取ってくれるため、遊休地をさつまいも畑に転換したり、他業種が農地を借りて芋の栽培に乗り出す等、農業に刺激を与えている。
【リキュールについて】
○ リキュールの原料となるポメロは、花の香りが強い品種のため、訪花害虫が多く寄りやすく傷がつきやすい傷が付きやすいなど、優良な果実を作りにくい品目である。青果として出荷できない果実の活用を試みており、リキュールはその一つ。
○ 酒造メーカーとは農協が3〜4年にわたって協議を続け、品質基準を明確にしてきた。植え付け地の指導など農家に対する営農指導を行い、生活改善グループでも品質の向上に取り組んでいる。その結果、現在ではメーカーが抽出を行う選果場に品質基準に満たない果実が持ち込まれることはほとんどなくなっている。
○ どうしても二級品が出る品種であることから、加工品としての活用は農家にとって有利であり、農業技術の向上の契機ともなっている。さらに、収穫など作業自体は簡易な品種なので高齢者の農作業にも適している。
○ 全体としてはリキュールにしている量はわずかであり、アイスクリームなど他の加工品の開発にも取り組んでいる。
○ 青果としての生産者価格は200〜250円/㎏程度、加工品用は50円/㎏程度。
【バイオマスについて】
○ 焼酎粕を使用した飼料は薩摩黒豚の餌など県内の農家に還元されており、アミノ酸や脂質を多く含んでいるため黒豚肥育業者の評価は高いとされている。

行政の対応

○ いちき串木野市では地域特産品の活用を重視しており、リキュールの開発や抽出に市の農業加工センターを提供するなどの支援を行っている。
○ バイオマスタウン構想を策定中であり、焼酎粕をメタンガス化した後の廃液を有機肥料として農家で使用するなど工業と農業との循環化を進める計画である。

課題と今後の農業の進め方

[工業]
○地元産のさつまいもを使用している割合はなお低い。調達量を増やすために、農業生産法人の設立を通じて原料の確保と地元農家の栽培技術の指導などに乗り出している。反収の増加などの課題がある。
○原料調達←→飼料、肥料の還元という農工間のサイクルを志向している。
○労働力が不足しており、“串木野の焼酎を串木野人の手で”という理念を持ちつつ、雇用範囲を拡大せざるを得ない状況にある。
[農業]
○原料としての質を確保できる作物の品質向上への取り組みは継続的に必要である。
○農業従事者の高齢化が進行しており、異業種からの参入等も含めて生産量の確保の方策が必要となっている。柑橘類の農協での取扱量は減少している。
○青果と加工品との価格差が大きく、高付加価値の加工品の開発などにより、安定した供給先と営農意欲の向上が必要である。
[行政]
○バイオマスタウン構想の推進により、農工間のサイクル化を推進する。
○農協等による加工品の開発等に対して試験研究機関などを通じた支援。
○アンテナショップでの販売促進など市場開拓支援。


【サワーポメロ】
フルーティーな味わいと香りが好評な「サワーポメロ」は、1974年より作付けされ、全国応募によりネーミング、以来品質を高めながら、いちき串木野自慢の特産品としてクローズアップされています。

お問い合わせ先
JAさつま日置農協北部営農センター
いちき串木野市大里894
Tel 0996-36-3675
販売時期:2月中旬〜3月下旬
【さわやかポメロ】
21世紀ついに香料・酸味料等一切使用しない、旬のいちき串木野産サワーポメロのみを用いたリキュール「さわやかポメロ」が誕生しました。ネーミングどおり、サワーポメロの爽やかな香りと芳潤な味に仕上がっています。飲み方は、ロック、カクテル等好みに応じてマイルドな風味を楽しめます。
ヒアリング対象
鹿児島県いちき串木野市
濱田酒造株式会社
さつま日置農業協同組合