No.20 「そすいの郷 直売センター」(栃木県那須塩原市)

2010.07.29

地域密着。地元客に愛され、毎朝行列する人気店に

地元農家の自主活動で立ち上げた直売所。毎朝開店前に行列ができる。売れ筋は地元農家の朝採り野菜と米。養豚農家の精肉と加工品も人気。
[地域:関東]

朝採り野菜から肉・花まで揃う直売所

店の外観も看板も素朴な店。ここで年間3億近くの売り上げを稼いでいる。

 人気商品は地元農家の朝採り野菜、たけのこ・山菜・きのこなどの季節物、個人名販売の玄米、養豚農家の精肉とハム・ソーセージ、卵、きんぴらまんじゅうなど農産加工品である。
 店は東北道西那須野塩原インターから南へ2㎞、国道4号から1㎞、東北本線西那須野駅から車で10分の地。もともと那須疎水にかかる天然水車が100基あったといわれる水車の郷で、水車が店の目印。敷地内には農産物と加工品を売る直売所、花・鉢物・種苗を売るパイプハウス、自慢のそばレストランがある。直売所は地元木材を活用した木造平屋で約60坪の広さ。



9時のオープン前には50名以上が並んでいる

開店前のお客様の行列の様子(22年5月30日の土曜日朝)。特に土日は行列が日常的におこっている。

 農産物は端境期の玉ねぎ、ごぼう以外は地元産のみの販売。葉もの類は朝採り、残品は持ち帰りが原則。毎朝9時の開店前に50人以上の客が行列する人気ぶり。11時頃までに生鮮野菜はほぼ完売状態に。販売品目数はバーコード管理で220点と種類は多いが販売量不足が課題。利用者は地元客が8割以上を占める。
 新鮮・安心・安価な商品を売ることに努めている。出荷者には栽培履歴提出を義務づけし、提出書を役員がチェックする。価格は毎週日曜に役員が品目別に売値幅を決め、客も見える店内黒板に細かく明示する。
 正月の1月1〜6日以外は年中無休。特に客が多いのは、切り花の売れる盆と餅の需要が多い暮。鏡餅、のし餅は予約制にしている。



自己責任を原則とした店の運営

午前中の店内。新鮮野菜目当てのお客様で賑わう。ひとりひとりの購入点数も多い。壁に並ぶのは生産者名の木札と顔写真。

 平成8年11月に設立。当初は朝市グループやイベント出荷者の74名が集まり、ふるさとにしなす産直会を組織し、直売所をはじめた。会員間の信頼関係を築くこと、自分の商品は自分で管理するという自己責任原則を基本方針にしてきた。
 会員数149名。うち正会員112名、準会員33名、特別会員4名。手数料は正会員13%、準会員は当番や役員を免除し15%。特別会員は学校、障害者施設など。
 産直会の組織体制は、会長、副会長の下に理事26名と監事2名、さらに地区ごとに連絡員が23名いる。直売所等の運営体制は事務局長、事務局次長の下にパート職員26名。パート以外に常勤はいない。最高経営会議は月1回の運営委員会で、会長、副会長、部会代表、事務局長などが参加する。経営の明瞭化に努めており、開設当初からバーコードを導入し、会計処理は会計事務所に依頼している。



直売所・食堂・加工所と公園レストランを経営

店内の柱、陳列台、レジ台、看板、プレートなどに地元木材をふんだんに活用。柱については、木材の皮も会員たちで1本1本むいた思い入れがある。

 売上額は開設以来順調に伸びてきたが、21年度は景気動向を受け、米の売上額が伸びずに横ばいに。21年度は総売上額3.5億円。産直会で経営するのは、直売所、そばが中心のレストラン「そすい庵」、農産加工所のほか、さらに県から運営を依頼されている那須野ヶ原公園のレストランと売店である。  売上額の内訳は、直売所285百万円、そすい庵36百万円、公園レストラン15百万円など。農産加工所では麺類、漬物、惣菜、みそ、菓子類を加工、売上額は直売所売上に含まれる。なお、産直会では会員個人の農産加工を奨励し、併設施設での加工ではグループ研究に重きを置いている。



会員は当番で年3回は接客対応を行う


 出荷会員は、生産履歴記帳、出荷物の出荷日印字、売れ残り品の持ち帰り厳守など、多数の遵守義務がある。加工品販売では原材料は地元産であるということと商品の味を加工部役員が事前にチェックをしている。
 会員には当番があり、年3回程度接客対応などで1日店に出る義務も。当番には1時間700〜1,000円程度の手当を出す。役員にもわずかだが手当てを支給する。
 会員全員を対象に2泊3日の研修旅行を行い、役員は直売所巡りなどの視察研修を行う。栽培や安全などの講習会は年数回実施する。
 イベントは年13回。多くは市主催の行事に参加。店独自イベントは、新そば祭り(1日1,800食)、まゆ玉づくり、新米祭など。接客は会員が当番で担当する。



高齢者向け宅配「届け隊」に挑戦したい


 米専業農家が多く、野菜づくりが弱い地域であるが、徐々にトマトやアスパラガスなどのパイプハウス栽培や塩原高原野菜が定着し、周年供給ができるようになった。近くにスーパーが12店舗あり、いずれも小規模だが地場野菜のインショップを展開する。特に脅威には感じないが、地域内農家の出荷も見られる。
 検討しているのは、店まで来られなくなった地域高齢者への宅配サービス「届け隊」づくりと、加工品の新商品開発。夢は経営が健全な状況で若者(後継者)に事業をバトンタッチすること。毎年新規加入者は数名いるが、まだ供給量が不足なので、今後とも生産に努力し、地域社会から支持される活動を展開したい。