No.19 「道の駅 東山道伊王野(とうさんどういおうの)」(栃木県那須町)

2010.07.28

スタッフ48名は地区住民。すべては地域のために

伊王野地区住民が一体となり活性化を目指して運営。直売所、手打ちそば屋、アイスクリームが評判で、人気の道の駅に成長。
[地域:関東]

関東の「もう一度訪れたい道の駅9位」に

丹生膳野菜

 野菜は安全・安心・新鮮な地場産の露地野菜が基本。地元農家が道の駅に出荷するために生産する。たけのこ、山菜、原木しいたけ、なめこ、県名産のいちごが人気商品。加工品は農家がつくる餅類、漬物、まんじゅう、弁当が売れ筋。地元原材料にこだわった伊王野豆腐、伊王野ぎょうざも人気。食堂の手打ちそばが特に評判で、年1億円の売上に。のどかな農山村風景の中にある道の駅で関東地区の「もう一度訪れてみたい道の駅」の9位にもランクされた。



手打ちそばの「水車館」が人気

直径12mもある巨大な水車のが道の駅のシンボル。

 県最北部の那須町、源義経が奥州より鎌倉に駆けつけたとされる旧東山道(国道294号)に面した伊王野地区にある。道の駅には、直売所のほか、まつり伝承館、軽食茶屋、手打ちそばの「水車館」がある。直売所は約106㎡の木造モルタルづくりで加工品、果物、みやげ品を販売。野菜・花類は店頭の常設テント(約100㎡)にて個人コンテナ方式で販売している。



東京からの「はとバス」も立ち寄る直売所

店頭のテント内が農産物の主要な売り場となっている。 ブルーのコンテナがずらりと並ぶ。

 営業は8時30分〜17時。野菜類は午前中で品切れに近くなる。売上は携帯メールで出荷者に配信するが、午後の出荷は少ない。価格は近隣スーパーより1割程度安い。
 客は観光客8割、地元客2割。手打ちそばの人気もあり、温泉客、ゴルフ客の利用も多い。東京からのはとバス(芦野温泉日帰りコース)も週4日程度立ち寄る。近隣ペンションや旅館も野菜を買いに来るが、ホテルは使用量が多いため、直売所は利用しづらいようだ。近くのゴルフ場にシーズン中は毎日食材を配達し、年12万円ほどの金額になっている。
 販売品の品質管理は店で指導する。職員が毎日出荷物を検査し、また、栽培履歴記入用紙を支給し、2ヶ月ごとに提出を義務づけている。残留農薬検査は店として年に5検体実施している。



スローガンは「目くばり、気くばり、 思いやり。やる気をおこし、明るい職場」

水車小屋の石臼で挽いたそば粉が食堂で提供されている。

 道の駅開設は平成12年。人口3,500人弱の旧伊王野村の活性化を目的に設立した施設で、それを経営する組合である。組合員には旧村内931戸の4割にあたる384名が参加。出資金1口1万円で最高30口まで認め、現在は資本金1,320万円で毎年5%配当している。現在はみなし法人であるが、株式会社化を検討中である。  施設は町で整備したが、開設後の直売所、そば食堂、軽食堂の経営は「東山道伊王野ふるさと物産センター組合」が年間400万円で借用して行う。設立後毎年、黒字経営を続けている。  経営方針は、組合が儲けるよりも地域のためになることが基本。「この土地の良さを活かしたもので商売する」ことにこだわる。仕入商品も地元業者からが中心。「気持ちを込めた接客」に努め、「目くばり、気くばり、思いやり。やる気をおこし、明るい職場」をスローガンとして掲示し、毎日従業員全員で復唱する。



従業員はすべて伊王野住民 社会保険も加入

「伊王野水車てんざるそば」が人気(1,000円)

 理事15名、監事2名で経営。理事会は月1回。運営組織は組合長の下に直売所、そば打ち、食堂の各主任。従業員30名、パート18名はすべて地区住民で、全員が社会保険に加入する。
 生産者組織である部会は農産物生産販売部会、加工品製造販売部会の2つ。農産物部会員は185名。伊王野地区に隣接する旧黒羽町の農家も一部入る。常時出荷者は70名程度。加工品部会員は80名。伊王野地区内の加工業者も多く入っている。
 21年度の総売上額は約4億円。うち直売所の売上は2.6億。内訳は農産物1.5億、加工品1.1億。総売上額は初年度1.4億から毎年順調に伸びてきたが、21年度は下期が天候不順で落ち込み、年3%しか伸びていない。客単価は1,010円。販売手数料は12%。仕入れのみやげ品は20〜30%。視察研修は年1回で、部会員は日帰り、役員は1泊研修を実施。



年間イベントはカレンダーで年頭に配布

カレンダー版もある年間のイベント情報(公式ホームページから)

 イベントは年7回。東山道まつり(7月)、収穫大感謝祭(11月)、寒晒しそばまつり(2月)など。年間イベントや休業日を記載したオリジナルカレンダーを年頭に5千枚作成・配布して広報に役立てている。学校給食は町内4校にほぼ毎日、年130万円程度の食材を配達。学校と生産者の交流も始まっている。



出荷物の収集と後継者対策を検討中


 売上額の伸びが止まったので、今年度より新たな発展策を検討する予定。幸い組合の積み立てもあり、多少の投資はできるので、有効活用を図りたい。出荷ができなくなった高齢者対策として、出荷物の収集も検討中。後継者確保・育成も重要な課題。後継者への組合株の譲渡を奨励したり、地区に移住してきた就農希望の若者を店で雇用もしている。