No.18 「丹生膳野菜」(福井県福井市)

2010.02.12

巨大ショッピングセンターに隣接する農産物直売所

広大な駐車場を備えたショッピングセンターに隣接する丹生膳野菜は、その立地条件から同業者あるいは異業種との補完関係や共存関係を図りながら、販売額を順調に伸ばしている直売所である。
[地域:中部]

設立の経緯

丹生膳野菜 店舗内の様子

米どころ福井においても、米の販売自由化に伴う価格の低下は、米農家の農協離れを招くようになっていた。そのような状態を食い止め、米農家だけではなく野菜を栽培する高齢者や女性も農協に親近感の持てる拠点として、直売所整備が求められた。
 平成13年に農協が主体で計画し、16年にプレハブ造りの店舗を試験的に開設して好評であったため、国の補助事業(新山村振興農林漁業特別対策事業)を導入し、18年7月に本格的にオープン。建築面積は930㎡、売り場面積は570㎡。21年2月に「膳野菜れすとらん旬菜」も併設。



販売状況


平成19年が約2.5億円で20年は約3.1憶円。21年は4億円を超えるペースで推移し、順調に伸びている。来客数は年間19万人。客単価は約1,600円。販売割合は野菜31%、加工品26%、米16%、これら3部門で全体の73%に該当する。特に米の販売割合は、全国の直売所の58%がわずか5%未満(平成18年まちむら交流きこう調べ)であることを考えると突出した数字を示している。
 一方で、果物と花の割合がいずれも6%前後と比較的少ない。また、山菜と米以外の穀類はともに2%程度の販売がある。海産物も越前漁港で水揚げされたものに限っており、販売金額は2千万円に達する。
 販売手数料は、農家の生鮮農産物が15%で、加工品と工芸品、委託業者の取扱品は20%。



運営の特色


会員は約390名で「出荷者の会」を組織。JAとともに運営を担いながらイベント時には『出荷者の会』ふるまいコーナーを設けるなどの活動も行う。品質管理では、管内6地区で野菜作り講習会を開催し、栽培レベルの向上と品質の良い農産物の出品を会員に求めている。また、売り場ごとに4班に分けられたパート従業員が、週交替で持ち場を見回っている。これは、売り場から引き下げる出品物や販売に適さない出品物かどうか、視点を変えて判断できるようにするためである。
 販売価格については、不適切と思われる価格は店の判断で変更することがあるが、そのまま店頭に並べておくときもある。不適切な価格の場合売れ残ることになり、会員に売れ残った原因を考えてもらう良い機会になるからである。
 販売額が伸びている理由は、隣接する市や町での認知度が高くなったこと、来客の多さが励みとなって会員が自主的に栽培面積を増やしていること、週末ごとにイベントを開催して集客に努めていることが上げられる。



商品確保の取り組み


地元で栽培されていない品目や栽培量の不足する種類は、JA間ネットワークを活用して他府県の直売所から直接仕入れている。福井県内他産地の梨やメロン、和歌山県「やっちょん広場」の果物類、大阪府「こーたりーな」や岩手県「母ちゃんハウスだあすこ」の野菜類など。膳野菜からは米を送り届けている。地元産の販売割合が60%程度であることから、地元の農産物の栽培振興に力を注いでいる。ハウス施設を建設する場合には費用の30%を補助し、果樹の苗木を農協へ注文する際には1本当たり500円を助成するなど、時期をずらした栽培や新たな栽培品目の導入を奨励している。



レストランの運営


「膳野菜れすとらん旬菜」の運営は、福井市シルバー人材センターに委託。料理の食材は直売所で販売する農産物が中心。その日の出品品目や前日夕方4時までの注文品目を利用する。また、供給過剰気味の農産物の料理への活用を直売所から依頼することもある。
 料理の作り手の多くが年配者のため、地域の伝承料理がメニューに多く取り入れられている。「たくあんの煮たの」という料理や、通常の煮しめに使われるニンジンやサトイモ、シイタケなどを小ぶりに切った「小煮しめ」と呼ばれる料理など。各種ご飯類やおはぎ、汁物も含めて40種類以上の料理が並ぶ。販売額は、月平均で360万円ほど。



今後の方向性


トレーサビリティーを完全なものにして、消費者へ安全・安心感のある提供を確かなものにしていく。会員数の多さのみが注目されるのではなく、目的意識を持った会員数を徐々に増やし、売れる店づくり、本当の意味での地域農業の振興拠点となる店づくりを目指す。