リーダーインタビュー
第10回 道の駅泗水(しすい) 養生(ようじょう)市場 (熊本県菊池市) (有)有明の里 泗水 支配人 賀久 清豪さん

2010.07.28

道の駅泗水 養生市場 (熊本県菊池市)

[聞き手・文責:全国農産物直売ネットワーク 副代表 田中 満]
[地域:九州・沖縄]

地産地消の深耕をめざす直売所

店内の様子 道の駅泗水 養生市場

 道の駅・泗水には農産物直売所「養生市場」と孔子公園があり、第3セクター有限会社有朋の里泗水が運営している。 この道の駅は菊池市に合併前の旧泗水町が地域振興を図る目的で整備し、平成13年11月に開設している。  第3セクター設立の基本目標は「心豊かなふるさとづくりの実現」であり、地域づくりにおいては「収益活動と公益公共活動の両立」を図ることであった。 さらに今期の基本方針は「地消地産への取り組みと地産地消のさらなる深耕」を掲げている。地消地産という言葉には、地域消費者のニーズにかなう生産活動を地域で行っていこうという積極的な意味を込めている。  これまでの運営では「生産者、消費者に迷惑をかけないこと」を基本に、仕入に頼らない販売活動を目指し、できるだけ町内産品の販売に心がけてきた。 町内で生産されるものと同じ品種の農産物は仕入れない方針である。農家も努力してくれたので、仕入比率が開設当初13%から、現在は7%まで下がった。


7割を占めるエコファーマー農産物


 店の特徴は、大きく次の3点である。 (1)エコファーマー農産物が全農産物販売の7割と特化している、(2)町内9グループ・個人と直営加工施設がつくる道の駅弁が九州一の評価を得て売上が多い、(3)出荷者の特産野菜開発が盛んで、アイスプラント、シシリアンルージュなど珍しい野菜がある、こと。  客に店の特徴を的確に伝えるため、「環境にやさしい農業をはじめました」「私達は安全・安心を提供します」というメッセージを、エコファーマー農産物のアピールとともに、店内随所にポスターなどで表示している。


店も支援し、エコファーマーは340名に


 店では、消費者の安全志向が強まっていることを接客を通じて感じ、17年度から直売所としてエコファーマー取得を推進してきた。当初は農家も作業日誌をつけたがらず、エコファーマー取得の書類提出に抵抗感もあったため、その対応や指導も行ってきた。  現在、出荷農家やその家族を含めてエコファーマー取得者が340名。出荷農家の6割以上がエコファーマーとなっており、実際に野菜売場の多くがエコファーマー農産物である。エコであるか否かで価格に差をつけていないが、客は同じ種類の農産物であればエコ商品を優先的に買う傾向である。野菜、果物、花のうち92品種がエコ農産物対象になっているが、店では売上からみて野菜8割、果物6割、花1割がエコファーマー農産物である。


直売所・公園・加工事業の管理も一手に


 役員は全員非常勤の取締役8名、監査役2名。第3セクターであるが、 今年度から市長が会長となり市内企業経営者が社長に就任した。併設の「孔子公園」管理および加工事業も含めて日常運営は支配人が責任を持ち、その下に主任3人、 パート19人が勤務している。職員の研修には力を入れており、パート全員に食品衛生責任者講習および各種接遇講習を行っており、主任は食品衛生指導員講習も受けている。  生産者の意志決定会議である出荷者協議会代表者会議を月1回開催。農家代表5名、商工業者代表2名、弁当惣菜、花、手工芸の各生産者代表10名が討議する。これらの決定事項や店からの連絡事項等をまとめる月1回発行「会員だより」を出荷者に配布するため、32名の連絡員を地区ごとに決めている。なお、生産者部会は自主組織である。


「道の駅弁当」の新作発表会は年2回


 出荷者は会員制で、全会員数332名、生産農家会員が268名で、その他の会員には加工グループ、商店などがいる。柑橘類は町内で栽培できないので町外会員を数名いれている。弁当や惣菜を加工出荷するグループや個人は15ある。その他に直営事業として、市から加工施設を借用し、弁当・惣菜・デザートの加工を行う。規格外農産物の有効活用も図るほか、地域特産野菜のレシピづくり、伝統料理教室の開催も行っている。    目玉商品である弁当には力を入れており、商品開発を推進するため、年2回、道の駅弁新作発表会を実施している。  生産農家への支援策では、販売計画推進費として100万円を計上し、減農薬資材への補助、特産野菜種苗補助(全額)、残留農薬検査費補助(全額)を行っている。


生産販売のロスを減らすシステムを検討


 21年度販売額は452百万円。販売額の内訳は、町内産野菜・果樹129百万円、町外産野菜・果樹10百万円、切り花・苗物・鉢物は9割仕入品で55百万円、以下全て町内産で弁当66百万円、惣菜32百万円、餅・団子類12百万円、漬物9百万円などである。水産物の販売はなく、肉類も少ない。客は市内客7割、熊本市民などが3割とみる。  年度販売額の過去最高は、道の駅弁当が九州一番と評価されてマスコミに大きく採りあげられた19年度で502百万円。この額が努力目標となっているが、出荷者の高齢化が進み、店としては苦労している。そこで、生産販売のロスをなくすため、生産計画修正システムを開発中である。  客単価は1,122円。熊本市と養生市場の中間点に立地する競合店となる直売所が増設して規模を大きくしたので、店の販売額にこの影響も出ているようだ。  手数料は12%、冷蔵庫を使う物は13%。当番は1日2名、朝8時30分〜9時30分の1時間で出荷品のチェックと9時開店後の接客対応。イベント的に日曜に実施する果物の店頭販売は出荷農家が接客し、手数料を10%に下げている。


生産者や畑の様子を店内で常時放映


 店内3カ所で消費者に生産風景などを紹介するビデオを常時放映し、生産者の農業・農産物にかける思い、安全面への配慮やエコファーマーなどを紹介している。
男性客がよく見ているようだ。
 消費者との交流では、(1)市からの借用地90坪を利用した農業体験事業、春秋のさつまいもの植え付け・芋掘り・焼き芋体験、秋春のたまねぎなどの栽培体験、(2)生産者農場での餅米の田植え・稲刈り・餅つき体験、(3)栗ひろい体験、(4)梨狩り、ぶどう狩り体験などを実施している。
 宣伝を兼ね、熊本市内で毎月2日連続で、道の駅5駅共同の販売イベントを行っている。2日間でそれぞれ60万円程度の売上があり、出張販売収支はトントンである。


周年生産・出荷体制の強化に向けて


 年間販売額を増やすこと、生産販売ロスをなくすことのほか、学校給食の地場産比率を高めるために直売所からの供給量を増やすことが課題となっている。にんじん、小松菜、キャベツは周年栽培供給を目指している。一方、出荷農家からは保管庫の整備を望まれているため、これらへの対応も検討課題である。