リーダーインタビュー
第9回 旬菜市場ふくの里(富山県南砺市) ふくの産地直売所運営協議会 会長 窪 隆之さん

2010.02.14

旬菜市場ふくの里(富山県南砺市)

[聞き手・文責:全国農産物直売ネットワーク 副代表 田中 満]
[地域:中部]

食する人と作る人の虹の架け橋になる

店内の様子 旬菜市場ふくの里

 この地域は朝市が盛んな地域であったが、旧福野町の朝市では徐々に出荷農家が減少して朝市に活気がなくなり、消費者から直売所設立を望まれるようになった。そのような時期の平成11年度に農水省補助事業で農産加工施設が整備されたので、任意組織である「ふくの産地直売所運営協議会」を設立。12年度に県および旧福野町の補助などを得て、加工施設に併設してプレハブの直売所を開設した。  直売所整備の目的は、福野地域で生産される農産物・農産加工品を消費者に新鮮・安心・安価で提供することにより地域の活性化を図ることであった。  直売所経営理念は「食する人と作る人の虹の架け橋」となることである。現在は全国農産物直売ネットワークが掲げた「8つの目標」を参考にし、地場農産物の販売、生産者自らが活動、消費者と生産者の交流など「8つの願い」を店の経営理念としている。その1つである「安全で安心な商品の販売」をするため、会員ほぼ全員がエコファーマーを取得している。また、直売所としても堆肥生産者と利用協定を結ぶ予定である。


朝市の名残から、早朝開店が特徴


 直売所総売上額は平成13年次が約5千万円、その後毎年10〜15%程度順調に伸び、20年次で9千3百万円である。直売所開設当初の会員は32名。現在の出荷会員は63名、うち農業法人が1会社、2グループ。3営農組合も会員に登録している。  朝市活動から直売所に発展したので、店の開店時間が早いのも特徴のひとつだろう。開設当初は朝市活動を引き継ぎ朝5時から開店していた。しかし、徐々に遅らせ、現在の営業時間は野菜出荷の少ない1〜5月が8〜13時、6〜7月は6時30分〜13時、野菜が出回る8〜12月は6時30分〜15時となっている。朝どり野菜の販売を基本にしているので、出荷者は朝4時前から畑に出て収穫している。


増設を重ね、2009年にリニューアルオープン


 直売所は簡素なプレハブであり、当初の面積は24坪と狭かった。その後8坪、16坪と2回増設し、現在は48坪である。2回目の増設は2009年1月に農水省の地産地消モデルタウン事業を導入し、6月に完成したばかりである。前年に漏電によって停電となった事故に懲り、店の改造を決意した。  この時の事業規模は2千万円。うち国庫補助は5割で補助残は会員が負担し、協議会としてはいっさい借金をしないという方針である。この事業では、売場面積の増設にあわせて、陳列台の更新(売り場を高くして、下に予備コンテナを置けるようにした)、陳列台を明るくするための蛍光灯の増設、屋根付きイベント広場の新設、会員別に細かなデータを出せるPOSシステムの更新も行った。さらに、店内の通路幅を広くして、ショッピングカートも導入した。


青年部に店から補助金を出し、新規作物に挑戦


 協議会の役員(無報酬)は12名、全員開設時から変わらない。会長、副会長3名、その他役員は販売、栽培、加工、青年部、総務企画を担当している。役員会は月1回。総会は年1回、全体研修会は年3回。  部会には加工部会(20名)、花部会、青年部会(7名)、学校給食出荷グループがあり、共同生産や出荷調整などとそれぞれ独自に活動している。加工部会は3班に分かれ、週2日ずつ併設加工施設で農産加工品を製造している。青年部には店で補助金を出して新しい作物に挑戦してもらっている。  朝1番の商品搬入は1人5コンテナまでに制限する。品質は役員とレジ担当者がチェックする。仕入れ販売は原則として行わないが、会員が出荷しない梨と山菜は特別に市内農家から仕入れている。  販売手数料は10%。レジはシルバー人材からの派遣者とパートが担当。会員はイベントの応援に年5回程度参加してもらう。


特産のさといも加工品が人気商品


 20年次の直売所売上額は8,900万円、その他に学校給食食材供給が400万円である。売上額を品目別にみると、野菜6割、花1割、加工品1.5割。その他は果物、たまご、しいたけ、米などである。客単価は1,050円。  野菜の種類は豊富で、店としては個別の栽培要請はしていないが、会員はそれぞれ得意作物を持ち、その生産に力を注いでいるので、自然に品揃えができている。普及センターによる栽培研修も年3回実施している。  学校給食食材ではキャベツ、たまねぎ、にんじん、だいこんが一定量必要なので、会員の大規模生産者に対応してもらっている。  加工部では併設の農産加工研修展示施設を活用して、餅類、漬物、惣菜、弁当などを加工し販売している。特産品であるさといもを多くの加工品に使うように工夫している。特に餅菓子類は人気商品で、「いもがいもち(おはぎの一種)」が売上№1である。弁当は新鮮な素材を使うので中身が変わる日替わり弁当。珍しいものでは、おからドーナツ、米ぬかのかりんとう・クッキー、青豆のねり菓子(すはま)、おやきなどがある。  直売所位置は旧福野町市街地から少し離れた地点で、南砺スーパー農道に面して、国道471号との交差点に近く、旧福野町以外の周辺地域からの集客も期待できる場所にある。今のところ販売時間が早朝に集中しているので、客層は地元客に偏っている。  なお、移動店舗の魚屋が駐車場で定期的に営業している。


大売り出しと地域祭事を組み合わせたイベント


 イベントは毎月実施。大売り出しと地域祭事を組み合わせている。福野地域一番の自慢はさといもであり、収穫祭にはさといも掘り大会を実施している。 地域祭事と組み合わせたイベント 1月 初売り:七品粥の振る舞い。 3月 ひな祭り:ひな壇飾り。 6月 夏野菜祭り:田祭りセール。 7月 七夕セール:ジャガイモ詰め放題。 11月 収穫祭:客が審査する品評会。 12月 越冬野菜市:野菜でつくった十二支を展示。   また、客の休憩室にもなっている併設の加工品展示室では、直売所特製の「笹の葉茶」をサービスし、来店者の憩いの場となっている。さらに、月ごとに町内有志の絵画など文化的作品や子どもの作品を展示している。なお、役員に絵心のある人がいて、その作品を店の壁に掲げたりチラシなどでも使い、客にも好評である。


売り上げは対前年比3割増で推移中


 売り場を増設した2009年6月以降は売上が対前年同月比で3割伸びている。恐らく今年は対前年比で15%以上伸びるであろう。会員の生産量からみると、売上増加もこのあたりが限界とみている。現在でも午前10時を過ぎると品不足となっている状態で、レジ係は生産者に電話で出荷を催促するなど客対応で苦労している。
 課題は農産物生産拡大、若い会員の確保、会員が作らない農産物(特に果物)を生産する農業者の確保、加工品ではパン製品の充実、ポイント制度の導入検討、地元以外の客の確保、福祉施設給食への食材供給の開拓などがあげられる。