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築150年の古民家と丸山集落の再生

2012.11.28
古民家の宿・集落丸山(兵庫県篠山市)を訪ねて
[地域:近畿]

 集落丸山の佐古田家(明かり)にて、佐古田直實氏(NPO法人集落丸山代表理事)に、丸山プロジェクトの取り組みについてお話を伺いました。


丸山集落の歴史と現状


 丸山集落は篠山城下町の水源地であり、御嶽の森山麓の細長い谷筋に位置しています。「丸山」とは丸形に一区画を成したことに由来しており、谷沿いの居住域を中心に山林が広がります。
 丸山集落は、1794年(寛政6年)に集落南東側の奥畑より城の水守として移住してきたのが始まりで、約260年の歴史を持ちます。明治16年には11戸の民家が建ち、50人(男性25人、女性25人)の住民が居住していたことが確認されています。1955年(昭和30年)代頃より職を求め村を離れる者が多く、徐々に人口が減少し始めたとのことでした。
 その後、1998年(平成10年)には、集落の中に秋田県出身の松田夫妻が経営する完全予約制の蕎麦屋「ろあん松田」が営業することとなり、子供2人を含め4人の新たな住民を迎えることとなりました。
 2008年(平成20年)の集落居住者は5世帯19人(男7人、女性12人)で、12軒(うち10軒が茅葺)の民家を有していますが、7軒が空き家となっていました。


丸山プロジェクトの歩み

 2007年(平成19年)に行われた長屋門の古民家診断・改修工事をきっかけに集落全世帯の調査が行われ、建築や景観の専門家による古民家の魅力と再生の可能性が発見されました。
 2008年(平成20年)には、国土交通省の「新たな公」によるコミュニティ創生支援モデル事業や、兵庫県の小規模集落元気作戦のモデル事業が採択され、集落景観修景整備計画策定に向けた計7回のワークショップ開催(①地域の再点検/②集落めぐり/③魅力と問題点/④将来ビジョン/⑤修景整備の方向性/⑥まとめ/⑦取り組み方針と報告会)、空き家活用システム計画策定に向けた古民家調査や計5回の学習会サロン開催(①丸山の魅力・景観特性/②古民家の特徴・再生/③鳥獣保護対策とクリンソウ/④空家利活用エリアマネージメント/⑤農家民泊マネージメント戦略)、計2回の農家民泊もてなし講座(①迎えもてなす心構えとエチケット/②外国人観光客の対応について)が開催されました。
 地区住民、財団法人兵庫丹波の森協会、株式会社プロミスささやま(現:一般社団法人ノオト)、特定非営利活動法人たんばぐみ、建築家、大学生、市職員等が1つになって丸山集落の将来ビジョンや修景整備の方向性についての検討を行い、日本人の心の原点というべき「集落の暮らし」を体験する空間とすること、古民家等の再生により滞在施設を整備すること、農業体験やアート、日本文化体験等のイベントを持続的に展開するとの方向性を確認することとなりました。


資料:丸山地域づくりワークショップ講座記録集(篠山市、財団法人兵庫丹波の森協会丹波の森研究所篠山分室2009年3月発行)


空き家古民家の再生

 2009年(平成21年)には、国土交通省の「地域住宅モデル普及推進事業」の指定を受け、一般社団法人ノオトが事業主体となり、地元の設計士や工務店の協力のもと3軒の空き家古民家の改装等による生活体験用の滞在施設の整備を進めることとなりました。


資料:丸山集落の物語(一般社団法人ノート2010年9月発行) 改修前の写真 才本建築設計事務所提供


 古民家の再生では大きな間取りの変更を行わず、新建材などで厚化粧されていた部分をきれいに取り除きながら、本来の住居が持つ柱や梁、土間を再評価し、日本人としての暮らしの良さを再び味わうことのできる空間づくりを目指しました。
 四季を通して五感を刺激できる空間の中では、現在の住まいが失いつつある自然と共に生きてきた「住居の原点」を見つめ直すことができます。


△佐古田家(明かり)外観
△佐古田家(明かり)平面図
△斎藤家(ほの穂)外観
△斎藤家(ほの穂)平面図


△佐古田家(明かり)室内



 2009年(平成21年)5月~9月にかけ古民家の改修が終わるとともに、改修した斎藤家の蔵を新たに改装し、神戸市出身の高柳氏が経営するフランス料理店「ひわの蔵」が出店することも決まり、10月に宿泊施設の営業を開始することとなりました。


丸山プロジェクトの事業スキーム

 「丸山プロジェクト」では、「NPO法人集落丸山」と中間支援組織である「一般社団法人ノオト」とが連携して、古民家等の再生整備と滞在型体験施設としての運営を行います。
◆空き家等の所有者は、自らの空き家、空き地、農地等を10年間無償で貸与。
◆集落住民等は、事業資金の一部、役務等を提供。集落マネジメントのために「NPO法人集落丸山」を設立し、滞在体験施設の運営、各種体験イベント等を実施。
◆「一般社団法人ノオト」は、古民家再生、観光、食、イベント等に関する専門家の派遣、市民ファンドの創設・運営、銀行からの資金調達等により集落の取り組みを総合的に支援。
◆「NPO法人集落丸山」と「一般社団法人ノオト」は、「LLP(有限責任事業組合)丸山ブロジェクト」を結成して、役割分担、費用負担、収益配分等を定める。事業期間は10年間とし、その後の運営継続については協議して定める。


資料:丸山集落の物語(一般社団法人ノート2010年9月発行)


丸山ブロジェクトの意義と取り組みの成果(実績)

 「丸山プロジェクト」は、空き家、空き地、空き農地などの「負の遺産」の価値を再評価・再発見し、これらをその土地の文化や暮らしとともに「地域資源」として再生し、活用しようとする取り組みです。
 小規模集落であるが故に大きなうねりを起こすことは難しいですが、小規模集落であるからこそ可能な未来に向けた意識の共有化を育むことができ、そして、未来に向けて継承していく意義は大きいといえます。
 雑誌・TV等の各種メディアが「丸山プロジェクト」を取り上げ、県内NPO組織による森林ボランティア活動やワークキャンプの受入や、都市住民を対象とした食や農、芸術アート等をテーマとした各種ワークショップの開催等の活動を通して、徐々に集落丸山の知名度は高まりつつあります。


上段左から「フィトテラピー・セミナー」、「ファームステイベトナム来訪」、「リニューアルプチレセプション」
下段左から「わらやねWS」、「おばあちゃんの黒豆煮とシェフの黒豆コンフィチュール」、「野の花を生けるWS」


 2009年(平成21年)10月開業から2012年(平成24年3月)に至る集落丸山への宿泊者総数は約2,000人を超え、2009年10月から2010年9月までのLLP丸山ブロジェクトの収入(売上)は12,474千円、支出は11,879千円で、黒字となっています。
 一方、丸山プロジェクトがスタートしたことにより、若者の働く場ができ、Uターン者を確保することが出来たとのことでした。
 「滞在型の農家民泊の営業は、一応10年間の期限を切っています。10年後も継続するかの判断は次の世代に委ねます。それまで下地づくりを一生懸命頑張って、継続できるようにしたい。まちに出ている方も誇りを持てる地域であると再認識して、地元に帰ってきてほしい。」との佐古田直實氏の言葉が印象に残ります。




蕎麦処「ろあん松田」とフランス料理店「ひわの蔵」

 集落丸山では、集落内にある蕎麦処「ろあん松田」、フランス料理店「ひわの蔵」と連携したオーベルジュスタイルの宿として旬の野菜を使った料理を楽しむことが出来ます。


蕎麦処「ろあん松田」の様子
フランス料理店「ひわの蔵」の様子


 以下、今回お世話になった蕎麦処「ろあん松田」の食事を紹介します。
 夕食は、宿から700m先にある蕎麦処「ろあん松田」に行き、食事をします。コース料理となっており、異なった4種類の蕎麦を食することが出来ます。その前後には、入念に手間をかけ、地元の旬の野菜や食材を使った料理が出され、その精細さに驚かされます。
 朝食は、宿泊した古民家の居間にて食事をします。飾り気のない素朴な農家の朝食が出てきます。


夕食の献立(黒豆茶、地の野菜盛り合わせ、八寸、盛り蕎麦、炊き合わせ、蕎麦手巻き寿司、蕎麦がき、暖かい蕎麦と天ぷら、蒸し野菜 レモン汁味、辛味大根のおろし蕎麦、黒豆ご飯と漬け物、抹茶と栗餅)
朝食の献立(切干大根、かぼしゃ、きんぴら(大根の皮・人参・ブロッコリーの茎・しいたけの足・芋のつる)、味噌汁(はたけしめじ・白菜・菊菜)、漬け物(きゅうりの糠漬け・梅干し・新しょうが佃煮)、とろろ、背黒いわし、玉子焼き、ほうれん草のごま和え、温ジュース(人参・りんご・はちみつ・しょうが)、ご飯、さつまいものレモン煮)



 改めて、今回、取材にご協力いただきましたNPO法人集落丸山、蕎麦処「ろあん松田」、フランス料理店「ひわの蔵」、一般社団法人ノート、ROOTの関係者の方々に感謝申し上げます。


マップ